居場所をつくろう 共生の現場から

第5部 動物(上) 殺処分減らせ

2017年9月27日

最後まで飼う意識を

施設内で譲渡されるのを待つ猫たち=羽曳野市の動物愛護管理センター

 「動物との触れ合いを通して『命の大切さ』を学び、ペットを最後まで飼う気持ちを持ってほしい」−。大阪府が動物愛護を推進する施設として、8月に新設した「動物愛護管理センター」(羽曳野市)の担当職員は強調する。

■愛護の精神

 同センターは、来場者が動物と触れ合い、愛護の精神を養う拠点として設置された。犬を対象とした動物管理指導所(大阪市)と、猫の動物一時保護センター(高槻市)などを統合して誕生した経緯がある。

 館内の動物学習エリアでは、猫の飼育体験や動物との触れ合いができる。動物管理エリアには診察室や手術室が設けられ、保護した動物の健康管理などに取り組む。

 これまでの来館者は1045人(9月24日現在)で、大半が動物との触れ合いが目的だという。同センターでの触れ合いを経て、これまでに新たな飼い主へ犬11匹、猫14匹が譲渡された。

 府(政令市など除く)の殺処分数は、2006年に1万3287匹だったのが、15年には4057匹までに減少した。法改正も減ったことの背景にあるが、現実には捨てられるなどして数字に現れないケースもあるとされる。

■「街ねこ」方式

 大阪市も殺処分減少に向けた取り組みを進めてきた。飼い主から引き取りの相談を受けた場合は、安易に引き取ることはせず、飼い主が面倒を見るように意識付けをする啓発を行っている。

 市の15年度の殺処分数は1991匹で、1989年度に比べて8割減少。繁殖力の高い猫の引き取り数が多く、猫の殺処分が全体の大部分を占めている。

 市は野良猫問題の解決にも力を入れ、『街ねこ』の事業を展開。地域の合意が得られた場合に、不妊去勢手術に対する助成を行い、その一代限りの猫を地域が中心になって飼育するという取り組みだ。

 不妊去勢手術は16年度までに167地域、計2844匹で実施された。市は「街ねこの取り組みが、殺処分の減少にもつながっている」と手応えを感じており、手術に協力する団体は「責任を持って世話をするというマナーの向上に役立っている」と話す。

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 第5部では動物との共生を考える。動物愛護の取り組みや殺処分の状況、ペットや飼い主を取り巻く現代の事情を紹介する。

ミニクリップ
 街ねこ事業 野良猫の問題解決に向け、不妊去勢手術を行って匹数をコントロールする取り組み。大阪市は2008年度から一部地域で始め、10年度から本格実施。地域の合意の下、住民が主体となって野良猫を適正に飼育し、共生を目指す。