居場所をつくろう 共生の現場から

動物(中) おおさかワンニャンセンター

2017年9月28日

「殺処分ゼロ」地道に

譲渡が決まり、新たな飼い主に抱かれる子猫。飼い主のうれしそうな表情が印象的だった=大阪市住之江区の市動物管理センター

 近年、動物との「共生」に向けた行政、市民団体の取り組みが進む。大阪市動物管理センター(愛称・おおさかワンニャンセンター)では月2回、収容されたり、持ち込まれた犬猫の譲渡会を開いている。センターに収容された犬猫に、新たな出会いが待っている。

■出会う

 9月中旬にあった譲渡会。トイプードル、ミニチュアダックスなど人気の犬種のほか、猫は雑種が多く、子猫が中心だ。猫は母猫とはぐれた離乳前の子猫が多いが、譲渡の対象は離乳後の猫という。

 愛くるしい表情で何かを訴えかけてくるような犬猫たち。この日の参加者は犬が6組、猫が3組、5匹の犬と、3匹の猫の譲渡が決まった。

 早速、新たな飼い主とうれしそうにじゃれる犬の姿も。これだけの数が決まるのは「まれ」で、特に成長した2歳の猫が決まったこともあり、担当職員が安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 「ずっと猫が飼いたかった」と喜ぶ吹田市の男性会社員(30)。猫をひざに抱え、離れるのがつらそうにしていた。猫を飼うのは幼い頃からの念願で、半年前、猫を飼うために引っ越し、ゲージなどをそろえた。

 譲渡会を終え、センターの木太俊雅係長は「世話をしてきた犬猫には情も湧くし、何とかしたいと思う。新たな飼い主へもらわれる瞬間は、この仕事をやってて良かった」。

■家族と同じ

 譲渡会で子猫を引き取ることを決めた大阪市浪速区の夫婦。17年飼っていた猫を老衰で亡くした経験があるという。「猫は家族の一員であり、一匹でも命、そこは人間と一緒」と新たな出会いに目を細めていた。

 法改正、動物愛護の浸透など取り巻く環境も変化し、センターに収容される犬猫数は減り、殺処分数も大幅に減った。殺処分に関しては犬が10年前の10分の1以下の40匹(2016年度)で、猫は4分の1以下の1208匹(同)と顕著だ。

 ただ政令市の平均より多いのが現状。ある市職員は「(殺処分を)せざるを得ない状況。したくてしているわけではない」と本音を吐露する。可能な限り収容された犬猫の生存に向け、方策を探っている。

 大阪市は25年までを目指し、「理由なき殺処分ゼロ」の実現を掲げる。犬猫の引き取りについて市では、各区を相談窓口に安易なものは拒否、譲渡会参加などを指導する。

 収容数、殺処分の減少傾向が続くように、不妊去勢手術をして地域が飼育する「街ねこ事業」などの地道な施策推進にも力を注ぐ。

 木太係長は「どうしても飼えないのであれば、飼える人を探す努力を」。良識に問い掛ける。

ミニクリップ
 おおさかワンニャンセンター(大阪市動物管理センター) 1951年に業務を開始。現在は大阪市住之江区に構える。おおさかワンニャンセンターは愛称。法や条例に基づき、野犬や放し飼い犬などの保護収容を行い、動物愛護思想の普及啓発を実施。迷い犬猫の受付・照会、負傷動物の応急処置、ふれあい事業のほか、犬猫の譲渡会などを開催している。