記者が選ぶ なにわこの1年

 2017年もさまざまな出来事が大阪を駆け巡った。政治から経済、スポーツに至るまで各界で印象に残ったニュースが数多くある。それぞれの話題を追った担当記者が、改めてニュースと共にこの1年を振り返る。

(7)子どもの貧困

2017年12月27日

 社会全体で支援へ 根強く残る自己責任論

経済的事情から絵日記に思い出を描けない子どもたちのために楽しい体験をしてもらおうと催されたイベント=9月、堺市堺区の関西大堺キャンパス

 「子どもの貧困」対策が進化を始めた。これまでの行政の施策、学校の取り組み、子ども食堂など地域の活動が、それぞれの立場からばらばらにサポートしていた状況から行政、学校、地域に企業も加わり、支援の輪がつくられつつある。「社会全体で取り組むべき問題」という認識が広がる一方で、「昔に比べればまし」「海外にはもっと苦しい国がある」といった意見も根強く残る。

■未来への投資

 今年の関西財界セミナーのテーマの一つに「子どもの貧困」が取り上げられ、経済界が福祉的テーマにスポットを当てたことが話題になった。

 「所得の減少は市場の縮小を意味する。子どもの貧困はかわいそうだから助けるのではなく、国の未来への投資」(青柳光昌・日本財団上席チームリーダー)という観点からの問題提起だったが、「終戦後の親たちは、(貧困から)脱出するために頑張った。家庭環境を整えることから構築し直さないと」という自己責任論も根強い。

 大阪市が4月に公表した「子どもの貧困」に関する実態調査によると、市の相対的貧困率は15・2%。相対的貧困は、全世帯を可処分所得の順に並べた際の中央値の半分以下で生活を強いられている状態で、市の中央値は238万円。母子世帯では相対的貧困、つまり119万円以下の世帯が53・3%に上る。世帯の経済状況が厳しいほど、学習理解度が低下する傾向も判明した。

 調査を分析した大阪府立大の山野則子教授は、標準的な家庭がしていることができないことが子どもの孤立につながることや、母子家庭の厳しい状況を指摘する。

■動きだす対策

 大阪市は今月8日、行政、学校、地域で子育て世帯を支援する事業を来年度から実施する方針を固め、企業も加わることで「社会全体で子どもの貧困対策に取り組む」(吉村洋文市長)姿勢を明確にした。

 門真市でも9月、住民の0・5%に当たる地域のボランティアが教職員OBらと連携して子どもを見守る取り組みを開始。大阪府では寄付金を集め、子どもの貧困対策のための基金をつくる方針を明らかにしている。

仕組みとしての対策を
 ○…みんなが貧しかった時代、きょう頑張れば明日は良くなると信じられた時代の貧しさと、豊かな国での貧困を一律に論じることはできない。物理的な厳しさは前者の方が上だろう。
 しかし、低賃金のダブルワークで経済的にも時間的にもまったく余裕がなく、子どもを起こしたり、弁当を作ったりできない家庭もある。親とごはんを食べられない子どもをなくすことが、経済成長の持続性にもつながる。教育、福祉、労働など社会の仕組みとしての対策が必要だ。