記者が選ぶ なにわこの1年

 2017年もさまざまな出来事が大阪を駆け巡った。政治から経済、スポーツに至るまで各界で印象に残ったニュースが数多くある。それぞれの話題を追った担当記者が、改めてニュースと共にこの1年を振り返る。

(9)プレミアムフライデー

2017年12月29日
化粧品売り場で「メイクアップアドバイス」の準備をするスタッフ=2月、大阪市中央区の高島屋大阪店

 消費喚起や働き方改革に取り組もうと政府、財界が一体となって導入した「プレミアムフライデー」。終業時間を早め、毎月最終金曜日を「豊かに過ごそう」と提案し、百貨店や飲食、レンタル業など幅広い業界でサービスが展開された。一方で、労働者からは「他の日の残業が増える」と厳しい声もあり、サービスを提供する側もスタッフの配置など対応に苦慮する結果となった。

■ユニークさ

 取り組みを商機とみた大阪市内の業界では、特別メニューや割り引きセールなどのキャンペーンを実施し、盛り上げに取り組んだ。

 近鉄百貨店あべのハルカス本店では「フライデー」にかけて、約30センチの大エビフライなどの揚げ物を販売。高島屋大阪店では、「夜間のお出かけ前」にゆっくり時間をかけたサービスとして、アドバイザーがメーク法を伝授するサービスも取り入れた。

 外食や買い物ではない“家消費”に着目した取り組みも。DVD・書籍販売の「ツタヤ」は、「自宅でゆっくり過ごす」ことを念頭に、商品を購入またはレンタルした利用者を対象に抽選でビールをプレゼント。既存のキャンペーンを、全国の約9割に当たる1200店舗に拡大したところ好評だったという。

■人手に苦慮

 一方で、課題も目立った。飲食店を全国展開するダイナックは、2月は関西や首都圏など全国約150店舗で開店時間の繰り上げや割引などのサービスを導入したが、半年で実施店舗を半数に減らした。現場ではアルバイトスタッフも多く、「人手の確保に苦労した」(広報)と漏らし、実効性にも懐疑的だった。

 近畿日本鉄道は5月の最終金曜日を皮切りに観光特急、「青の交響曲(シンフォニー)」を「ワイン列車ツアー」として月1本運行。出だしは月60人の募集に対して開始約1週間で定員に達したが、7月以降は空席も目立つようになった。

 導入当初は目新しさで注目された制度だが、民間団体がスタートから半年を機に公表した調査結果をみると、導入企業は1割程度にとどまった。月末金曜日の実施を7割が「疑問」と答えるなど反応は低調だった。

恩恵は一部にとどまる
 ◯…この民間団体の調査によると、勤務時間を自由に設定できる「フレックスタイム制」が既に実施されていることなどから、制度は今後「定着しない」との回答が半数近くを占めた。
 「(月末でなく)月中が良い」という実施日程の指摘もあり、「働き方改革は進むか」の問いには「他の日の残業が増える」と懐疑的だった。
 気になったのは、制度導入で消費拡大が「進む」を「進まない」が上回ったこと。年収の拡大など本質的な経済成長が伴わず、一部の大企業社員のみが恩恵を受けている感は否めない。国民が本当の「豊かさ」を感じるにはもう少し時間がかかりそうだ。