浅野秀弥の未来創案

【府財政を検証する〈1〉】

2013年6月3日

将来の備え削って黒字化

 橋下前知事は、就任以来一貫して「収入の範囲内で予算を組む」「将来世代に負担を先送りしない」と府民と府議会に約束してきた。そして「4年連続の黒字を達成した」「減債基金(地方自治体の借金返済のための積立金)を復元した」「実質的に府債残高を減少させた」などと、自らの功績をメディアを使って発信。財政再建への取り組みが、さも大きな効果をあげているかのように、アピールした。

 しかし、実際には橋下府政では単年度黒字を達成するため、将来に備えるべき減債基金の積み立てをあえて行わず、4年間で約1633億円もの借金を先送りした。それは結果として、借金の棚上げに過ぎず「府財政状況は改善していない」と言える。

 平成24年3月時点の財政調整基金(計画的な財政運営のための貯金)残高は、1385億円。橋下前知事時代の平成22、23年度の知事重点事業が241億円、さらにWTC購入費が85億円、これら合計は1711億円に達し、先送りした1633億円を十分賄える額に相当する。

 減債基金に必要な積み立てをせず借金を先送りした結果、大阪府では今年3月時点で、実質公債費比率(自治体の収入に対する負債返済の割合)が18・4%となり、新たな府債発行に総務相許可が必要な起債許可団体になった。大阪府にとって初めてのことだが、今後脱出の見通しは大変厳しい。

 公債費は今後も高水準で推移、このまま減債基金の積み増しなどの対応を取らなければ、実質公債費比率は、5年後には25%を突破する。その結果、府は財政健全化団体(府単独事業向け起債発行の制限を受ける)に転落してしまう危険性が出てくる。

 減債基金の積立不足額を、平成19年度(太田府政最終年度)と同23年度(橋下府政最終年度)を比較すると、最初に述べたように1633億円も大幅悪化している。橋下府政下で先送りされた借金は、結局府民が返済しなければならない。現状の府予算に関する債務増大を、偽りなく橋下・松井の両氏は明らかにする責任がある。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。我が国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済連合会幹事、堺市活力都市戦略委員。