浅野秀弥の未来創案

【総合区説明で既成事実作り】

2016年12月15日

結局は都構想焼き直し

 大阪市による総合区設置の説明会が各区で行われているが私の見るところ、吉村洋文市長の説明は「大阪府に吸収ありき!」つまり、都構想の焼き直しを認めてもらうためのイベントに陥っている。その証拠に、市の事なのに松井一郎知事が説明会に出てきて2人がそろうと、中身は維新の説明会に転じる。聞けば都構想実現のために「どうすれば認めてもらえるか?」が中心であり、総合区実現のために「5区、8区、10区」のどんな形でも「統合さえすれば事足たれり」としか感じられない。

 吉村市長には「何のためにその職に就いたのか?」と問いたい。カリスマ的な維新政治の象徴だった前任の橋下氏は強烈な個性で敵も多かった。今の吉村氏は、完全に松井府知事の操り人形と化し、野党自民党まで「吉村市長は橋下氏に比べるといい人」と理解を示しているのだから恐れ入る。総合区の是非は、市長選市議選で争点になったことがない。市を二分した都構想住民投票に敗れた維新が再び焼き直しの都構想を示してくるのは既成事実を積み上げるひきょうな手口だ。

 人間はすぐに現状に慣れ、痛みを忘れてしまう。都構想住民投票の時に、当時の橋下市長は「1回切りの勝負。負けたらあきらめる」という発言をして、「どうしてもこのワンチャンスを生かす」と繰り返した。それが市長交代したら、シレッとして総合区を示してくる神経は通常では到底理解できない。

 結局、住民投票でも接戦だった分、維新が「ご理解下さい。ご理解下さい」と壊れた蓄音機のように繰り返しているうちに、反対派も根負けし「都構想とは別物だから…」と了承してしまうのか? 心ある市議や市職員は、大阪市が消滅することで「府が得をし、消滅する大阪市の財産を自由に使える結果になる」と皆知っている。

 はっきり言って、政府は「大阪が府でも都でもどっちでも構わない。維新が第2与党として国政運営に協力してくれればいい」と思っているだけで、大阪の将来像に興味などない。ここは大阪自民党が真剣に考え、第2都構想である総合区案の正体を暴くしか道はない。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。