浅野秀弥の未来創案

【日朝有事が及ぼす影響】

2017年9月21日

円高がまだまだ続く日本

 北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)が日本上空を飛び越えたのと、広島型原爆の10倍の威力がある水爆とされる6回目の核実験。

 過去には株価や為替への影響はほとんどなかったが、今回はそれぞれ1円程度円高に振れた。日本は国家財政が破綻寸前と言われているのに、なぜ海外投資家は円に走るのか? それは日本が世界一の対外純資産国だからだ。大半の予想に反し、北朝鮮がもし在日米軍基地を攻撃しても筆者は「円買いは止まらない」とみる。

 その根拠は、日本が大きな痛手をこうむった東日本大震災だ。11年3月震災後の4営業日でドル円相場が8%も円高ドル安になったことを考えても、そうなる可能性が高いとみる。戦争や大規模災害などでリスク回避姿勢が強まる場合、投資家はポジション(行き過ぎている売買)の手じまいを迫られる。平時にリスクテーク(ギャンブル的な取引)姿勢が強い時のポジションは、低金利通貨の円などを売って新興国などの高金利通貨を買う場合が多く、それを閉じることを余儀なくされれば当然、円は買い戻される。安全通貨の円を選んで買うのではなく、ポジションの手じまいで仕方なく買い戻され上昇するのだ。

 世界の安全保障にとって、日本に被害が発生するような深刻な事態となれば、世界中の投資家は一斉に手じまいする。しかし、被害を受けたのが日本なのに、円を売って利益を得ようと考える投資家はほとんどいない。

 日本のような世界最大の純債権国は、こうした深刻な事態に直面した場合、出ていく資金より戻ってくる資金の方が圧倒的に多い。日本在住者の多くは、北朝鮮のミサイルで被害を受けても海外に逃げ出さず、引き続き国内で生活する。仮に被害がそれなりに大きい場合、給与やボーナスが一時的に減少する危険性はあるが、その場合日本で生活する人に必要なのは円貨だ。こうした緊急事態に、海外に資金を逃避させることができるのはごく一部の富裕層に限られる。したがって、日本に被害が出ても円が買われる可能性の方が高いのだ。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。