浅野秀弥の未来創案

【中国の仮想通貨新規禁止は?】

2017年9月28日

中ロ富裕層の事情透ける

 中国は今月に入って、ビットコインなどがブーム化している無国籍な仮想通貨に対し、「新規公開を認めない」と決定し、今後はそれらを違法とする禁止令を出した。

 日本でベンチャー企業などが資金調達する場合、株式を上場して公開売り出しすることが一般的。しかし、中国では資金調達のための株式上場は当局が厳しく規制し容易ではない。そこで新たにネット上で仮想通貨を発行し投資家から資金調達する方法が、最近注目されていた。

 今回の決定は新たな資金調達の場合に限られ、既存の仮想通貨取引まで禁止したものではないが、膨大な資金力を持つ中国市場で仮想通貨に法的規制が入ったことは、投資家に警戒感以上のショックで受け止められている。つまり中国やロシアなどの旧共産圏大国は、法治国家とは名ばかりで習近平やプーチンらトップ独裁で、当局ににらまれたら財産どころか命まで危険にさらされるのはよく知られている。それだけにこれらの国の富裕層は、パナマ文書に表れたようなタックスヘイブン(租税回避地)に財産を隠し、国家や国立中央銀行の裏付けがない仮想通貨に走りがち。課税逃れはもちろんだが、もし当局からの危険が身に及んだとき、体一つで国外逃亡しても仮想通貨ならスマホさえあれば財産保全できるからだ。

 中国の金融コンサルタントは「当局は“米国やシンガポールと違わない”と言うが、対応の仕組みが分かるまでは禁止に抵抗せざるを得ない。一時的な政策にとどまるだろう」と楽観視を装っているが、相場は正直で急落がそのあわてぶりを示している。

 「仮想通貨投資で、数カ月で倍増になった」などの成功体験を聞くと、外国為替を含めた他の金融商品が超低金利だけに、誰でも魅力を感じる。特に日本では4月に改正資金決済法が施行され、「役所がお墨付きを与えた」と受け止められ、飲食店やデパートの支払いまでできるようになり中国とは正反対の状況にある。

 国家や中央銀行の裏付けのない通貨は、10年後に10倍になるのかゼロになるのか誰にも分からない。どちらを信じるかは、自己責任の判断しかない。

 あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。