澪標 ―みおつくし―

「美術」が仕事 その1

中津海 智子
ギャラリーなかつみ乙(いつ)企画代表  
2012年6月12日

 ひょんなことから、しばらくこちらにお邪魔することになりました。本業は画商の端くれ、『萬波ぴあの』の筆名で自費出版するやら、本名もありで雑誌に寄稿するやら、「書くこと」が道楽の「大阪のおばはん」です。どうぞよろしゅうに。

 さて、画商。別名美術商、主に絵画を扱うてまして、昔は「絵や(えーや)はん」と呼ばれてました。ま、古美術骨董(こっとう)の「道具やはん」とよう似てます。商売ですから基本は同じ、商品を仕入れてお客さまに買うていただく。仕入れは作家の先生方や交換会から。

 「交換会」言うのんは同業の画商たちの私的な団体組織で、それぞれが出資金を出し合い、月にいっぺん日時を決めて作品を持ち寄り、売り買いする場のこと。いわゆる「オークション」です。余談ですが、このオークション(通称で『会』と呼びます)に一般の人を参加させないのは業者の勝手な都合やと攻撃されたことがありました。仕入れ価格を隠して、作品相場を不当に操作してるなどと非難されたものですが、これは全くの筋違い。

 と言うのも、会の参加を業者に限るのは画商が決めたことやないんです。今でもそうですが、美術品は長く流通する商品ですから、新作以外は中古、つまり古物の売買になり許可が必須。これは中古車販売や古書店、金券・リサイクルショップも同じで、取扱品目に応じて13種類に分かれています。画商は「古物商」または「美術品商」になります。

 古物営業の申請には特別な資格はなく、営業所のある管轄の警察に必要書類を提出するだけですが、管轄地の警察によっては別途条件を出されることもあるなどなかなか面倒。

 で、肝心の「会」ですが、開催日時や会場等をあらかじめ警察に届け出、参加は古物売買のできる認可者で、かつ同業者数人から認められ、出資した会員限定という寸法です。

 会員制のオークションは開催業者が会員から委託されて売買を行う形になっていて、売買手数料をいただいての代行なので一般の方も参加できます。昨今では滞納した税金の回収に政府や地方自治体が独自でオークションを開催、ネットや新聞のニュースでご覧になったこともおありでしょう。そこはお上のことで参加はどなたもご自由になってます。

 古物営業になくてはならないものに「古物台帳」があります。商品や売買先を記録する物で、本やCD、DVDを業者に買い取ってもらう時に住所・氏名を書くように言われた方も多いのではと思います。盗品売買防止策の一環で、警察から盗品情報が知らされたり照会されたりした時に使い、いわば捜査の片棒も担ぐ訳です。ご存じでしたでしょうか。

 話が少々脱線しましたが、商品の仕入れは他にお客さまからの買い取り、委託もあります。売り方は店での展覧会でお客さまをご訪問して、あるいは百貨店などのテナントとして出店販売等ですが、こちらについてはまた次回お話し致します。それでは、今日はこれ切り。

  (兵庫県西宮市)