澪標 ―みおつくし―

車と歩行者、自転車

三浦 直樹
エコール総合法律特許事務所、弁護士
2013年2月22日

 「クレジット」と似て非なるものに「提携リース」があります。

 ユーザーに買わせた商品の代金を信販会社に立て替えさせるクレジットと異なり、提携リースの場合、販社は提携先のリース会社に商品を買い取らせる形を取ります。ユーザーは、これをリース会社から借りる対価として、毎月のリース料を支払うのです。そのため、所定の代金を回収するまで解約には応じない、という中途解約禁止条項があるのですが、販社がユーザーにきちんと説明していないためのトラブルが続発しています。

 クレジットもリースも、販社からユーザーに商品が直接納品され、販社が代金を一括で受け取り、ユーザーが、これに金利・手数料を上乗せした金額を数年かけて支払う、という外形は全く同じなのですが、法的には全く異なる形態なのです。

 クレジットと異なり、提携リースに関しては、そもそも規制する法律がありません。そのため、このシステムを利用した悪質な販社によるトラブルが相次いでいます。

 パソコンも使えない老人が営むわずか1坪のたばこ店にビジネス電話機やネットワークカメラが設置されていても泣き寝入りを強いられてきたのです。

 数年前から全国各地で弁護団が結成され、昨年7月には、大阪地裁でリース会社の監督責任を認める画期的判決が出されましたが、法規制に向けた動きはこれからです。

 ところで、提携リースの被害者の多くは、中小零細事業者です。そのため、消費者保護法による保護が及ばない、というジレンマがあります。同様のジレンマは、「不動産サブリース」のオーナーにも当てはまります。「安心の30年一括借り上げ! 相続対策で空き地を有効活用!」といったセールストークを信じて、業者が立案してきた事業計画に従ってローンを組んでアパートを建てたのに、わずか数年で当初の約束を反故(ほご)にされて家賃を減額され、さらには一括借り上げ契約そのものを解約されてしまい、結局、ローン返済に行き詰まる、といったトラブルです。

 提携リースのユーザーも不動産サブリースのオーナーも、より大きな事業者である販社やリース会社、サブリース業者や建設業者に食い物にされている、という点では、消費者被害と同じ、否、それ以上の被害といっても過言ではありません。

 リース会社が購入代金を回収するまでは解約に応じない、という理屈は、不動産サブリースのオーナーが建築代金を回収するまでは解約に応じない、という理屈にも通じるはずです。しかし、契約条項を作るのは常に業者側であり、彼らは自分たちに有利な条項しか盛り込まないのです。

 事業者と消費者の非対称性を「車」と「歩行者」になぞらえて、消費者という歩行者を事業者という車から保護するルールが必要、と言われることがありますが、「自転車」のような零細事業者も同様に保護される必要があるのではないでしょうか。

 (みうら・なおき 大阪市北区)