澪標 ―みおつくし―

生前のニーズが高まる家の片づけ「福祉整理」

株式会社ユニクエスト・オンライン企画部企画2課課長
永井 玲子
2017年6月2日

 最近は「断捨離」「ミニマリスト」など、身の回りの物をあまり持たずに生活する人のことが話題になりがちですが、なかなか物を捨てられないという方も多くいるのではないでしょうか。

 最近では、生前のうちに片づけを遺品整理業者へ依頼する生前整理の需要が高まっています。片づけは故人様が亡くなった後に行うのが一般的かと思われがちですが、業者によっては生前の依頼が全体の6〜7割を占めています。

 片づけの依頼を遺品整理業者に頼むことが多くなったいま、トラブルも増えているようです。2017年3月には国民生活センターへ「当初30万円くらいと言われたのに、最終的に約160万円になった。翌日断りの電話を入れたら、5万円のキャンセル料がかかった」といった相談が寄せられており、複数の業者から見積もりを取って比較するよう注意喚起しています。見積もりを取った後も、ただ単に費用の安い業者を選ぶのではなく、会社の所在や電話番号が確認できるか、行政の仕事をしているかなど、信頼できる業者かどうか見極めることが大事です。

 ユニクエスト・オンラインが昨年からスタートしている「小さなお葬式」のアフターサービスのひとつ「相続の窓ぐち」でも、メニューのひとつとして遺品整理を提供し、大阪のお客さまからも生前・葬儀後問わずご相談をいただいております。当社にご依頼をいただく方の平均費用は荷物の量にもよりますが、数万円〜20万円程度の方が多く見受けられます。

 ご事情はさまざまですが、相続の窓ぐちへ生前ご依頼されるお客さまからは「(親御さまが)介護施設に入ることになったので、家を整理しておきたい」「家の片づけをして売却し、親と同居する資金に充てたい」などという理由が聞かれました。

 こういった福祉環境を整えるための片づけを「福祉整理」と呼び、最近では依頼が多くなっているようです。

 11年に内閣府がまとめた調査結果では、生活環境や栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようという気力を失い周囲に助けを求めない「セルフ・ネグレクト」状態の高齢者は1万2千人いるとされています。回答者の約半数は、近隣住民との接点をほとんど持っていないという結果が出ており、これらの現象が原因となって、ごみ屋敷や孤独死が増えているとも言われています。

 当社へのご依頼も、「部屋が物で埋め尽くされている」「火事の心配がある」というお話も聞かれます。生きているうちに親御さまが家の片づけをしたら縁起でもないとお考えにならないでください。生前のうちに片づけを行うことは、気持ちよく生活を続けるための住環境の整備でもあり、自宅内での転倒事故の防止にもなり長生きにもつながります。

 シニアの方からは孤独死を心配する声がよく寄せられますが、東京都監察医務院の14年のデータによると、孤独死の男女比は68%が男性だといいます。

 6月18日は父の日です。実家から離れて暮らしている方は、プレゼントを贈るついでにお父さまの元気なお顔を見に帰られてはいかがでしょうか。

 (ながい・れいこ、大阪市西区)



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