澪標 ―みおつくし―

ふるさと納税でもサポート

永井 玲子
株式会社ユニクエスト・オンライン企画部企画2課課長
2017年8月25日

大阪でも深刻化する空き家問題

 おいしいグルメやお得な返礼品が話題になりがちなふるさと納税ですが、竹田城で有名な兵庫県朝来市では、ふるさと納税の返礼品として「空き家見守りサービス」を行っているそうです。

 最近よく聞くようになった「空き家」。全国に820万軒あるとされていますが、その中でも一番空き家が多いのは大阪市で28万軒。政令指定都市の中では最も多い軒数とされています。今は7軒に1軒といわれている空き家の軒数ですが(2013年総務省「住宅・土地統計調査」より)、30年には実に3軒に1軒が空き家になるという増加傾向の予測も出ています(16年6月野村総合研究所「2030年の住宅事情」より)。

 そんな状況を踏まえ、行政も空き家対策に乗り出しています。15年には空き家対策特別措置法の施行に伴い、「行政代執行」なるものも発動しています。衛生上・安全上・景観上で周辺の生活環境を守るために放置しておけないなど、特定の条件を満たした空き家が、数回にわたる行政からの注意喚起に応えず改善しなかった場合、強制的に撤去される場合があるというものです。ご近所のクレームから、施行に至る場合もあると言います。親御さんが住んでいた家が、今空き家になっているという場合は、近隣住民に迷惑をかけないよう管理を行うことが大切です。

 行政代執行で空き家を解体した場合、氏名・住所が公表される上に、解体にかかった費用も請求されることになります。解体にかかる費用は状況によってもまちまちですが、立地によっては800万円したという例もあります。大阪でも15年に生野区で老朽化した木造の家屋が自治体によって解体されるなど、実際に行政代執行が行われました。

 当社で運営する「相続の窓ぐち」にも、実家の相続に伴い不動産売却の相談が寄せられますが、実家が無くなるのは寂しいので今すぐは売りたくないというケースや、いざ売ろうとしても買い手が見つからず売れないというケースもありさまざまです。今は忙しいから、空き家になった実家をとりあえず放置しておこう、という方も少なくありません。

 ご両親がどうしたいと思っていたのかがわからず、相続する子供たちの仲が悪くなるケースもあるようです。「お母さんはこの家を引き継いでほしいのではないか」「誰も住まなくなったので、自分たち(子供)の代で、実家は処分してしまおう」など、親御さんの意向を聞いていなかったばかりに子供たちの間で意見の食い違いが起き、仲が悪くなることもあります。相続させる親の側は、まさかそんなことで子供たちが仲たがいをするとは思っていないかもしれませんが、残されたご遺族は思わぬきっかけで大きな仲たがいをすることもあります。

 また、不動産を所有されている方が認知症になると、生前には不動産の売却が難しくなるため、せっかく自宅で親御さんと同居をスタートしたのに、誰も住まなくなった実家も維持費をかけて管理し続けなければならないというケースが度々見られます。

 国が空き家の売却を促す特例もあります。築年数などいくつかの条件がありますが、19年12月31日までに相続した空き家を売却すると、譲渡所得から最高3千万円を控除できるというものです。お金だけの問題ではありませんが、事前にご自身の希望を話しておくことで、売却するかしないかの判断がしやすくなり、子供たちの世代が仲たがいする可能性が低くなるというメリットもあります。

 ご自身の死後、子供たちが不仲になってほしいと思っている方はいません。いつまでも仲の良い兄弟でいてもらい続けるためにも、元気なうちにご自身の意向を、まずはお子さんたちに話すところから始めてみてはどうでしょうか。

 (ながい・れいこ、大阪市西区)