澪標 ―みおつくし―

葬式の生前契約でかなえたい思い出作り

永井 玲子
株式会社ユニクエスト・オンライン企画部企画2課課長
2017年11月24日

 日本で一番、人が亡くなっているのは何月でしょうか。「8月の暑い時期」「季節の変わり目では」といったさまざまな声を聞きますが、厚生労働省の人口動態統計によると、1年のうちで死亡者数が増えるのは、実は12月〜2月。これからの時期にあたります。2016年の場合、年間死亡数の約34・8%が12月から2月に集中しています。最も減少する5〜7月は約28・4%となるため、その差は約6・4%で、6万3855人にも及びます。

 暖房器具が進化し、冬場でも室内にいれば快適に過ごせるのになぜと思われるかもしれませんが、この傾向は死亡統計が始まった1947年以降、ほとんど変わっていません。

 団塊の世代の方がどんどん高齢になり、日本の年間死亡者数は2040年頃まで増え続けるという予測が内閣府から出ています。それに伴い、死にまつわることに関心が寄せられるようになり、「終活」という言葉が生まれ、家族葬という言葉もよく聞かれるようになりました。

 日本消費者協会が14年にとった「葬儀についてのアンケート」では、「自分自身の望ましい葬儀のかたちは」という複数回答を募った質問に対して、1位は「費用をかけないでほしい」(59・1%)、2位は「家族だけで送ってほしい」(51・1%)というご自身の葬儀を小規模にと望む方が多いようで、複雑な思いを抱く方も多いかもしれません。

 当社の「小さなお葬式」にも、子供に迷惑をかけたくないので…と、問い合わせいただくことが多いです。事前にご自身の葬儀を準備したいというニーズから、早めにご予約をいただくと費用が抑えられる業界初の「お葬式の早割」を始めたところ、3年で5万件を超える申し込みをいただきました。生前に自分の葬儀や納骨先を決めて支払いも済ませておきたいというニーズも多いため、今月からは「小さなお葬式の生前契約」も始まり、こちらもさっそく反響をいただいています。

 「小さなお葬式で生前に準備をしていたおかげでお葬式費用のめどが立ち、生前母と温泉に行けます」といううれしい声を寄せてくださるお客さまもいらっしゃる半面、「父が用意してくれていた300万円を葬儀代とお布施でほぼ使い切りました。お葬式自体に後悔はありませんが、もしも父が小さなお葬式を知っていたら、趣味の旅行に夫婦であと10回は行けたんじゃないかなあ」という方もいらっしゃいました。

 こんな話ばかりしていると、お葬式くらいは今までお世話になった方を呼んで盛大にした方がとご意見を賜ることもありますが、すべてのお葬式が小規模になるべきだと思っている訳ではありません。盛大なお葬式でも小規模なお葬式でも、ご本人やご家族が希望され納得されていれば、どれが間違っていて正しいということは無いと思っています。ただ、お葬式の費用に不安を抱くことが減り、生きているうちに楽しくお金を使える方が増えればいいなと考えています(数人の小規模な家族葬だったのに、数百万円かかったというお話もいまだに聞きます)。

 お客さまからいろいろなお話を聞くことが多いので、ついつい縁起でもない話ばかりしてしまうのですが、年末年始に今後のことを少しでも考えていただくきっかけになればいいなと思います。

 (ながい・れいこ、大阪市西区)