澪標 ―みおつくし―

〜アロマテラピーがつないでくれた縁〜 日本の精油

相神 ゆり
アロマとハーブのサロンarbre de l'espoir主宰
2017年12月15日

 アロマテラピーで使われている精油の9割は西洋の精油と言われていますが、日本にも素晴らしい精油があります。

 サロンを始めて2年目の新緑の季節、初めて東北に行き、青森ヒバを使った日本で一番長い木造の三連太鼓橋・鶴の舞橋を訪れました。津軽富士見湖に岩木山が映えて美しく、見たかった景色が目の前に広がった時は感激しました。奥入瀬渓流では、新緑の樹々の香りがぶわーっと体中を駆け巡る感覚に衝撃を受けました。ああ、日本の自然はなんて雄大なのだろうと、今でも目を閉じるとその時の息吹を感じて力が湧きます。

 青森ヒバは、強い抗菌作用があるヒノキチオールを含み、中尊寺金色堂に用いられていることでも有名です。総ヒバ造りの家は3年間蚊が入らず、シロアリにも強いといわれています。主成分のひとつセドロールは、α波を増加させる働きがあり、ストレスの緩和にもつながり深い呼吸を導きます。ちなみにサロンの洗濯用洗剤は青森ヒバ入りのものを使用しています。これからの季節はうがいに精油一滴落とすと良いですし、歯周病の予防にもなるので一石二鳥です。入浴剤として使うと体の芯から温まります。

 日本の精油は他にも、ゆず、ひのき、杉、もみ、くろもじなどがあり、日本人にとっては何かほっとする懐かしい香りです。

 セミナーでは少しずつ日本の精油の良さを伝えていますが、フランスでアロマテラピーに出会った様に、今度は海外に日本の精油を広めていきたいという夢があります。

 私は小学校半ばまで堺の団地っ子でしたが、両親が自然豊かな土地でと金剛山近くに引っ越しました。母は大学時代ワンゲル部だったこともあり、金剛山頂には300回登った名前入りのプレートが貼られています。薬剤師だったので、登山をしながら野草のことも教えてもらいました。

 父は、信州に赤杉で山荘を建て、黒姫・妙高の山々によく連れて行ってくれました。そんな両親の影響を受けたのか、わが家のマンションを17年前にリフォームした時は、床はヒノキの無垢(むく)板、家具は自分で設計したブナ材で造り、家中の壁を自分たちで珪藻土を塗りました。自然なものに囲まれて暮らす心地よさが体に染み込んでいるので、都会にいながら森の中にいるような香りを放つ「精油」にひかれたのは自然な流れかもしれません。四季折々思い出深い金剛山、スギ・ヒノキの森林のある大阪・関西の精油をいつか自分で関わってつくることができたらと思っています。

 連載1回目に、アロマテラピーとの出会いについて書きましたが、アロマの仕事を始めて出会ったり、再会した人との縁が今の私の活力になっています。そのお一人、日本の木材を使い自然素材の家づくりの活動をされている「いい家塾」代表理事の釜中明氏には、この「澪標」連載の貴重な機会をつないでいただきありがとうございました。感謝の気持ちをこめて最終回の結びにしたいと思います。

www.arbrearoma.com

 (あいかみ・ゆり、大阪市中央区)