おおさか未来予想図

 多くの外国人観光客(インバウンド)でにぎわった2017年の大阪。18年は国際博覧会(万博)誘致が本格化し、カジノを含む統合型リゾート(IR)や大阪都構想の賛否が問われる。各地で進む再開発やホテル建設の槌音(つちおと)は大阪の福音となるか。大阪で起こる未来への動きから予想図を描く。第1部は「先端技術のまち」をテーマに、ロボットや人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、情報通信技術(ICT)への取り組みを紹介する。

第2部「万博誘致の行方」(2)

機運の醸成
2018年4月19日

若者目線で世界観問う

BIE視察団を前に構想を発表する若者ら=3月、大阪市(WAKAZO提供)

 博覧会国際事務局(BIE)の調査団が、3月の大阪視察で重視したことの一つが、開催候補地としての「機運醸成」だ。大学生や高校生でつくる若者グループ「WAKAZO(ワカゾウ)」は、誘致に向けた機運をさらに盛り上げようと、万博に求める理想像を若者目線で提言している。

■モノの再定義

 「人類はモノとどうのように付き合っていくのか。考えるべきなのは、人とモノの再定義、関係性の再構築。万博を通じて世界観を問いたい」

 関西の学生を中心に全国から若者が集まる「ワカゾウ」で、執行代表を務める大阪大大学院生命機能研究科の塩田悠人さん(24)が熱弁を振るう。

 大阪大や京都大の医学生らを中心に、「ヘルスケアの課題解決」を基本方針として立ち上げた「inochi学生プロジェクト」が「ワカゾウ」の母体。彼らが今回提案しているのが、学術的知見を踏まえ若者が抱える課題を集約したパビリオン「WAKAZO館」だ。

■世界巻き込む

 塩田さんたちはBIE視察団の崔在哲(チェジェチョル)団長らを前に、府に提出した若者版「万博事業計画書」に基づく構想を発表した。

 「WAKAZO館」の構造模型や動画、身体に装着できる「ウエアラブル端末」を用いた健康管理の手法などを具体的に例示。その後の会見では、事務局次長のディミトリ・ケルケンツェス氏が「誘致に向けた努力と熱意を感じた」と手応えを話した。

 開催地決定を控え、今後は会員制交流サイト(SNS)などを通じてBIEに加盟する170カ国の若者とつながり、輪を広げていく。各国の若者代表を「アンバサダー」と位置付け、世界を巻き込んで課題を集約していくという。

 塩田さんは「どの国にも当事者意識を持つ若者はいる。各国からアイデア、ビジョンを集め、2025年のパビリオンで世界に向けて発信していきたい」と夢を語る。

■経済界も躍起

 経済界もさまざまなPR活動を展開中で、あの手この手で誘致実現に励む。万博誘致の懸垂幕や看板、ラッピング電車なども登場し、地元の一体感を演出する。

 大阪商工会議所は昨年3月、万博誘致推進本部(本部長・尾崎裕会頭)を立ち上げ、今年4月には商議所内に事務局となる万博誘致推進室を設けた。

 精力的に行うPRイベントのうち、「万博ステッカーキャンペーン」は、昨年末からエリアを拡大。当初10万枚の見込みだったステッカーは、現状で約28万枚に増えた。賛同者募集活動「万博・名刺サポーターキャンペーン」では、約2カ月で4万枚を超える名刺が集まった。同本部は「引き続きプロモーションなど、各団体で連携したい」と意気込んでいる。

ミニクリップ
 inochi学生プロジェクト 関西を基点に医療や健康産業の発展、健康長寿に向けた啓発活動などを進める一般社団法人の「inochi未来プロジェクト」と連携しながら、医学生らを中心に企画、運営する自主組織。「若者の力でヘルスケアの課題を解決する」をミッションに、「認知症の社会課題の解決」「心臓突然死を防ぐ」など個別テーマを掲げて活動してきた。「ワカゾウ」はこのプロジェクトから派生した。