大阪発 癒やしの温泉巡り

「越中山田温泉 玄猿楼」(下) 富山市

2016年11月19日

山里のいで湯 のんびりと

玄猿楼自慢の情緒にあふれ、周りの自然と一体となれる「夢殿露天風呂」

 「越中八尾 おわら風の盆」の舞台から近い静かな山里に位置する越中山田温泉。山田温泉の縁起は古い。

 約1300年前の奈良時代のこと。山田川の水辺で矢で傷を負った1匹の老猿が、その傷を癒やし、森の中へ飛び跳ねて戻っていく姿を猟師が見ていた。その水辺を調べたところ、温泉であることが分かった。山伏などの修験者によって「薬湯山田温泉」の名が津々浦々にまで伝えられたのが、この温泉の始まりと言われる。

 その後の戦国時代は戦傷者、江戸時代には富山藩主や武士らによって利用されてきた。明治時代に入ってからは、主に地元富山の人たちにより遊覧、入湯を楽しむ温泉地として栄えた。

 私が本年9月1日に宿泊した「玄猿楼」は、越中山田温泉だけではなく、北陸の中で最も老舗といわれる温泉宿だ。創業時期などの詳細は明らかではないが、明治時代には既に入母屋屋根の2階造りで、階上には擬宝珠を飾った手すりがめぐらされていた旧本館「不老閣」が建てられ、越中山田温泉の中では中心的な宿として発展してきた。

 「玄猿楼」の一番の自慢は、まず古くから薬湯として知られる温泉が素晴らしいこと。遠くいにしえの時よりこんこんと湧き続ける清流山田川のほとりの山里のいで湯をのんびりと楽しめる。泉温41・5度、PH値8・6の加水・加温なしの源泉掛け流しの温泉。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉で、皮膚病・外傷・神経痛・筋肉痛・慢性消化器病等に効能がある。

 浴場は、白流館1階にある男女の広々として開放的な大浴場、清流館1階にある周りの自然を眺めながら入浴できる男女の夢殿浴場(内風呂)と情緒にあふれ周りの自然と一体となれる夢殿露天風呂、そして地下の岩に囲まれた岩風呂(貸切風呂・要予約)があり、バラエティーに富んだ風呂を楽しむことができる。

 料理は、地の山里川の旬の味覚、富山湾の海の恵みなど四季の素材を吟味したこだわりの味を「富山の四季彩会席」などで味わうことができる。客室は、清流館(1〜3階)と白流館(1〜5階)の2棟に計56室の部屋がある。川のせせらぎと山々を眺めることができ、次の間付の和風の特別室やベットルームのある和洋の部屋など、自分の好みと予算に応じて選べる。

 5年前からこの宿に入った女将の大源加奈子さんは、「いずれは部屋数を減らして家族客中心の宿にしていきたい。そしてお客さま一人一人と親しく接することのできる日本の宿を目指していきたい」と優しく話していた。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】富山市山田湯1017
【電 話】076(457)2121
【部屋数】56室(定員150人)
【宿泊料金】1部屋2人で1泊2食1万円〜(サービス料込み・税別)
【定休日】不定休
【日帰り入浴】営業時間午前10時〜午後7時、入浴料金は大人650円、小人300円
【交 通】
・JR富山駅前からバスで山田行政センター行きに乗車(約50分)、終点下車徒歩すぐ
・北陸自動車道富山西ICから宿まで車で約20分