大阪発 癒やしの温泉巡り

岐阜県下呂市 濁河温泉「朝日荘」《中》

2017年8月12日

ゆったり 自然を満喫

誰にも気兼ねすることなく入浴を楽しめる小庭を設けた情緒豊かな岩造り貸し切り露天風呂

 御岳山の歴史とともに歩んだ秘湯「濁河(にごりご)温泉」。同温泉地の中の「朝日荘」は、都会の喧騒(けんそう)を一切感じさせない大自然の中で、自分探しの旅をじっくり体感できる宿だ。

 宿の歴史は1970(昭和45)年、高根村で村会議員を務めていた朝日荘の初代と林業を営んでいた息子の2代目が、朝日荘の前身である朝日村営の宿「朝日荘」を買い取って経営を始めたことから始まる。以後数回の増改築を行い、90年に2代目が宿の敷地内で自家源泉を掘り当て、4年後に宿を全面的に建て替えた。

 2011年に3代目松坂靖さんが2代目の父から宿の代表を引き継ぎ、2年後に大幅なリフォームを実施。パブリックスペースを充実させ、主に個人客対応の宿へとイメージチェンジを図った。コンセプトは「遠く人里離れた秘湯の宿らしさを持ち続けることと自然との共生」だ。

 「朝日荘」には主に五つの魅力がある。まず一つ目は、温泉そのもので、地中から生まれたての上質の湯を楽しめること。特に加水・加温・循環・ろ過・消毒剤なしの源泉掛け流しの自家源泉と共同源泉の2種の源泉を楽しめるのが何とも魅力。24時間入浴可能で、浴用だけではなく飲用できるのもうれしい。

 男女別の内湯と露天風呂、玄関先の足湯に使用されているのが、自家源泉の「朝日荘の湯」。地下約250メートルからの掘削動力揚湯で、泉質はナトリウム−炭酸水素塩・硫酸塩温泉、源泉温度53度(入浴用は適温に調整)、PH値6・72(中性)、湧出量毎分250リットル。もう一方の貸し切り内湯と露天風呂に使用されているのが共同源泉「濁河の湯」。宿の上方約300メートルの湯の谷からの掘削自然自噴で、泉質はナトリウム・カルシウム・マグネシウム・硫酸塩・炭酸水素塩温泉、源泉温度52度(入浴用は適温に調整)、PH値7・05(中性)、湧出量毎分828リットル(宿には約60リットルが引湯)。

 いずれの湯も、褐色を帯びた濁りがあってわずかに硫黄の香りがある。よく温まって、湯冷めしないのが特徴。浴用は神経痛・筋肉痛・冷え性・リウマチ、飲用は糖尿病・慢性便秘等に効能のある良質の天然温泉だ。

 男女別の内湯の外にある露天風呂からは、すぐ目の前に原生林が迫り、四季の自然の移り変わりや夜には満天の星空を眺められる。また開いていれば宿泊客はいつでも無料で自由に利用できるこの宿自慢の貸し切り風呂は、優に10人ほどが入浴できる豪華版。ヒノキ造りの内湯と小庭を設けた情緒豊かな岩造りの露天風呂で、誰にも気兼ねすることなくゆったりした入浴タイムを楽しめる。

 その他の朝日荘の魅力は次週に紹介する。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】岐阜県下呂市小坂町落合2383
【電 話】0576(62)3528
【部屋数】和室12室(定員45人)
【宿泊料金】(2人1室1泊2食付き)1万6千円〜(税・入湯税別)、飛騨牛料理付1万8千円〜(同)
【日帰り入浴】営業時間午後2時〜同6時(要確認)
【入浴料金】大人800円、小人500円
【交 通】
・JR高山駅→(14:10分発、バス約90分)濁河温泉(宿へ要予約)
・中部縦貫道高山IC→(車で約80分)宿