大阪発 癒やしの温泉巡り

山形県・銀山温泉 「初冬の銀山温泉を旅する」

2018年1月13日

大正ロマンの面影色濃く

タイムスリップしたような大正ロマンの風情が色濃く残る初冬の銀山温泉街

 皆さんは、東北山形の山深い仙境の地にある「銀山温泉」をご存じだろうか。1969カ所の温泉を巡っている私にとって、銀山温泉は最も好きな温泉の一つで、すでに15回以上訪れている。そして昨年12月1、2日、3年ぶりに家内や旅仲間ら9人で初雪の舞うこの温泉を旅した。

 銀山温泉の歴史は、延沢銀山の開発の歴史と重なる。同銀山は、1456(康正2)年に加賀国金沢の儀賀市郎左衛門が発見したとされている。1634年には江戸幕府の御公儀山として直轄され、最盛期には約2万5千人を超える銀山関係者が生活していたといわれる。大森銀山、生野銀山と共に徳川期における日本三大銀山の一つに数えられた。

 銀山温泉は、その銀山開発の際に出湯し、当時から山師たちが利用していたとされ、500年以上の歴史がある。89(元禄2)年、延沢銀山が全山廃山となった後も、温泉街は山師から温泉宿の経営者や温泉に関係する商人となった人たちの尽力によって、多くの湯治客でにぎわう温泉地へと変身していった。

 銀山川を挟んで両岸に位置する今の銀山温泉の街並みは、大正中・後期から昭和初期にかけて形づくられた。まるでタイムスリップして別世界に入り込んだような木造三層・四層の風情漂うレトロな旅館や街並みは、今でも大正ロマンの面影を色濃く残している。夕刻に歩道に並ぶガス灯に火がともる風景は、ノスタルジックな昔懐かしい雰囲気をかもし出す。

 地元の尾花沢市が1986(昭和61)年に制定した「銀山温泉家並保存条例」によって、よそでは見ることのできない建物と景観を大切に保存しているのもうれしい限りである。また83年にNHK連続テレビ小説「おしん」の舞台になったことでも有名だ。

 現在銀山温泉には、能登屋旅館など13軒の宿と3カ所の公衆浴場がある。気軽に利用できる公衆浴場は、モダンな建物が印象的で、細かな湯の花が浮かぶナトリウム−塩化物・硫酸塩温泉で身体の芯まで温まる「共同浴場しろがね湯」の他に、「共同温泉かじか湯」「貸切浴場あもかげ湯」がある。遠い関西からでも、大正時代にタイムスリップした気分にひたれる銀山温泉をぜひ一度は訪ねてほしい。

 (大川哲次・温泉学会副会長、弁護士)

【所在地】山形県尾花沢市銀山温泉
【電 話】0237(28)3933(銀山温泉観光案内所)
【公衆浴場】
・しろがね湯 午前8時〜午後4時半、大人500円、小人200円
・かじか湯 午前8時〜午後7時、大人300円(12歳以下無料)
・おもかげ湯(貸切浴場) 午前10時〜午後5時(50分2千円)
【交 通】
・JR奥羽本線大石田駅より定期バス約40分
・東北自動車道山形北ICから国道13号線経由車で約80分