大阪ロマン紀行

 大阪のDNAを感じさせる場所や企業、人を、独自の嗅覚を持つコラムニストの岡力氏が、関西に点在するオカルトスポットを、妖怪講座が人気の亀井澄夫・妖怪研究所所長が、代わる代わる紹介していきます。二人の案内人がお薦めする“ディープ大阪”を存分にお楽しみください。

池田最恐の池が憩いの公園に

今回の案内人
亀井澄夫
(日本妖怪研究所所長)
2014年12月6日

池田市上池田町 あわんど池の辻地蔵

辻地蔵のお顔は、ちょっと怒っているようにも見える。お花も線香も新しく、手入れもされていた

 かつて池田で一番怖い場所といえば「あわんど池」であろう。1965(昭和40)年に埋め立てられ「辻ケ池公園」となり、今は親子連れの憩いの場「辻ケ池公園」になっている。鉄棒やすべり台はもちろん、子どもたちが工夫しだいでいろいろ遊べる遊具も豊富だ。

 しかし、ここが池だったころは横に大きな松の木があり、白蛇がすみついていた。この白蛇を捕まえようとした男が病死して以来、白蛇は池の守り神として祀(まつ)られるようになった。また、池自体がすり鉢状の形をしていて、一度足をすべらせると深みにはまる恐ろしい池でもあった。

 村落や共同体の境界上にある池や田畑、竹やぶ、辻などに妖怪譚が多いのは全国共通である。このあわんど池も村と村の境にあり、キツネが人を化かす話などが伝わっている。

 辻ケ池公園の入り口横に「あわんど池の辻地蔵」がある。石碑の裏を読んでみると、江戸時代中期以前より、この地蔵は存在していたようだ。しかし、この地蔵の由来については触れられていない。資料によると、箕面の芝村あたりに一人の未亡人があり、幼児を預かり養育費をもらっていたが、生活に困って近くの池で幼児を始末するようになった。1779(安永8)年に捕らえられたときは、すでに7人もの幼児を溺死させており、女を磔(はりつけ)にして処刑したのがこの、あわんど池である。

 その後、幼児の供養のために建てたのが、あわんど池の辻地蔵で、幼児を仲介した者も捕まって牢死(ろうし)している。

 あわんど池の辻地蔵は名に「辻」とあるが、今は公園に添ってあり、決して辻に立っているわけではない。辻は、この世とあの世の境目を示す場所である。死して迷う子どもを導く地蔵は今日も辻にいて、極楽への道を示しているのであろう。