大阪ロマン紀行

 大阪のDNAを感じさせる場所や企業、人を、独自の嗅覚を持つコラムニストの岡力氏が、関西に点在するオカルトスポットを、妖怪講座が人気の亀井澄夫・妖怪研究所所長が、代わる代わる紹介していきます。二人の案内人がお薦めする“ディープ大阪”を存分にお楽しみください。

パインバウム

今回の案内人
岡 力
コラムニスト
2016年4月16日

懐かしの銘菓、洋菓子とコラボ

商品を手にする赤松雅幸さん

 唐突ながら連想ゲーム。「バナナと言えばカステラ、ではパインと言えば…」。多くの関西人が「アメ」と答えるだろう。高級果物を愛嬌(あいきょう)ある容姿と独創的なフレーバーでお菓子として加工し、さまざまなブームを巻き起こしてきた関西の食品業界。私見だが名前を聞いて口の中でイメージするのは、実際の物より商品化された方である。

 大阪市天王寺区生玉に本社を構える昭和26年創業のパイン株式会社。言わずとしれた“あの味”を製造販売する会社である。

 戦後の傷跡残る大阪でパイン缶の味を手軽に楽しむ事ができればという思いで誕生した「パインアメ」。発売当初は、アメの真ん中に穴が開いておらずパイナップルを模したものであった。しかし、パインの形状にとことんこだわり現在の原型が完成した。まさに創意工夫の結晶といえる。

 そんな大阪の伝統に新たな形で挑戦する会社がある。東淀川区に本社を構える株式会社松月堂本舗。大正14年に北区天神橋で豆板・粟(あわ)おこしの製造販売業として創業。現在も「生八ツ橋」をはじめ「チョコバナナクランチ」「たこ焼き菓子」といった定番のご当地土産を販売している。

 そんな老舗が六十余年のロングセラー商品を高級洋菓子であるバウムクーヘンで再現した。三代目社長の赤松雅幸さんにお話を伺った。「大阪のブランド銘菓で何かやりたいなと思い企画しました。実際の製品に近い味を再現するのに苦労しました。10回以上にもわたる試行の末、本家にご納得いただける味が完成し新しいパインが誕生しました」

 レトロなデザインのパッケージも忠実に再現。バウムクーヘンだけに「穴」も真ん中にしっかり開いてある。3月から関西エリアの観光名所や駅の売店で販売。ソーシャルメディアでも話題となり瞬く間に完売し製造が追いつかない状況である。

 気品漂うほんのりした甘さとなじみのあるパインの風味、古き良きぜいたくな時間が味わえる逸品である。


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