連載・特集

街を奏でる人

「ネット経由」相談に意欲

一般社団法人「日本メンタルセラピスト協会」専務理事
田中 千栄子さん
2011年12月11日
ネットで悩みの相談を受ける田中千栄子さん

 とても44歳には見えない若々しさと171センチ、58キロの理想的な体形、聞けば「体脂肪率26%」と素晴らしいプロポーション。10代のころから故郷の名古屋でモデルとして売れっ子だった。

 「なぜ人の悩みをじっくり聞きアドバイスするセラピストの世界に?」という素朴な疑問に「心ではなく人に興味があったから。私は“やれるよ、やってみたら”との人の言葉を信じ、そのメッセージで踏み出せたから」とほほ笑む。

 たおやかな外見とは裏腹に実生活では苦労の連続。7人姉妹の長女。母と再婚相手の新しい父を加えた9人家族。美ぼうを買われて18歳でモデルに。華やかな舞台の裏は、オーディションの連続で浮き沈みも激しく、ストレスは多かった。

 21歳で結婚引退し2女をもうける。子どもの手が離れた10年ほど前から本格的なセラピストを目指し、社会人入試で大学に通い、人格心理学、障害児教育、カウンセリング学を習得。全米資格の上級睡眠療法ライセンスも身に付けた。田中さんのセラピーは「相手に共感する↓話をじっくり聞く↓中身を理解する↓分析説明を加える↓2人で会話する」と、至ってシンプル。

 精神的な悩みを聞く行為は医療として病院に通い、直接面談するカウンセリングが主流だった。田中さんは「これからはネット経由では?」と早くから着目。ホームページから入ってきて依頼者とやりとりしたり、もっと手軽にブログやツイッターも用いた相談方法を導入。「これからはテレビ電話スカイプやフェイスブックも活用したい」と意欲をみせる。

 一般社団法人として認可された協会設立のきっかけは、セラピストの連帯と後継者育成の必要性から。「日本でもメンタル面でのサポートの必要性は認められつつあるが、医師以外のそれらの人々は認知度が低く横のつながりも薄い。まず、人のつながりを広げてテキストと研修で一定のレベルを確保することが必要と考えた」

 将来の夢は、認定試験を合格したメンバーが各地に広がり情報交換して高め合っていくこと。「これからの日本は心を大切にする社会になる。“人の話を聞く人”という存在がどんな職場でも貴重とされる世に変わってほしい」