来阪catch

30年前の続き、プロとして

映画「星くず兄弟の新たな伝説」
監督 手塚 眞
2018年1月20日

遊び心を詰め込んで

「アナログからデジタルの時代になっているが、あえてアナログ的な撮り方で古くて新しい作品を目指した」と話す手塚眞監督=大阪市北区の梅田スカイビル
「星くず兄弟の新たな伝説」の一場面

 映画監督の手塚眞(56)が自身の商業映画デビュー作の続編にあたる「星くず兄弟の新たな伝説」(マジックアワー配給)を30年ぶりに発表。ミュージカル・コメディー映画で「初心に帰って、今度はプロの遊び心を詰め込んで撮った」という手塚監督に話を聞いた。

 高校時代から映画制作を始め大学時代に撮った8ミリ「MOMENT」が、大島渚監督らプロから絶賛されたのは記憶に新しい。商業映画デビュー作が「星くず兄弟の伝説」(1985年)で、音楽活動をしていた近田春夫に誘われて発表。それはカルト・ムービー的な扱いで一部の映画ファンの間で語り継がれている。

 「その映画に出演していたメンバーが3年前に集まったとき、『また映画をやろうよ』という話が出た。一部映画好きな人から意外に評判がいいことも伝え聞いていて、軽い気持ちで『もう一度』と思ってしまった。しかし、今度はプロになっての仕事だから大変だとも思った」

 前作は若いロック歌手の2人(高木完、久保田慎吾)が主人公のコミカルな音楽映画。「若かったので怖い物知らずで挑戦。近田さんから頼まれたというノリもあって、作りたいように撮ったが、今度はそうはいかない。続編というよりプロの仕事で、ある意味作家の真価を問われることにもなる」

 展開は前作と違い、主人公の2人(三浦涼介と武田航平)は月に行き、井上順演じる芸能プロ社長の事務所に入って夏木マリが社長のライバル会社とぶつかり合う。西部劇のような舞台で活躍する、全編ミュージカルタッチのポップな音楽映画だ。前作のカン(高木)はDJ、シンゴ(久保田)はスナックマスターになっている。

 「井上さんは元スパイダースで、夏木さんも歌手。加えてロックの神様・内田裕也さんに登場していただいているので、時代としては50年代、60年代、そして70年代生まれの3世代が交錯し、若返った若い2人と絡んでいく。さながらまぜこぜカルチャー映画になった」

 さらに映画は途中から主人公が若い女性(谷村奈南、田野アサミ)にチェンジする趣向で、手塚監督が「アメリカの夜」のフランソワ・トリュフォー監督のように劇中に飛び出してくる。これは自主映画出身でマニアックな映画ファンでもある監督の真骨頂である。

 ほかにISSAY、藤谷慶太朗ら異色スターと、ギター・ガンマンに浅野忠信、ヒロインに荒川ちから大勢が出演。映画監督の黒沢清、庵野秀明らもカメオ出演。「遊び心を詰め込んだ」と苦笑いする。今年は父である手塚治虫さんの生誕90周年で「アニメ原作を実写で撮れれば」。

 ※「星くず兄弟の新たな伝説」はシネ・リーブル梅田で27日から公開。