来阪catch

6人の死刑囚 向き合う

映画「教誨師」
監督 佐向 大
2018年10月6日

大杉漣の遺作&プロデュース

「大杉さんは鏡のようになって主人公を演じてくれた」と話す佐向大監督=大阪市中央区のシネマート心斎橋
「教誨師」の大杉漣(C)「教誨師」members

 今年の2月に66歳で亡くなった大杉漣の最後の主演作で初プロデュース作品になった「教誨(かい)師」(マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム配給)が6日からテアトル梅田、シネマート心斎橋で公開される。「教誨師が6人の死刑囚と向き合う話で、大杉さんが鏡のような存在で演じてくださった」という佐向大監督(46)に作品の狙いを聞いた。

 大杉漣の急逝は多くの映画関係者、ファンの間に深い悲しみとショックを投げかけた。芝居でスタートし映画に数多く出演し、北野武監督の作品の常連となり、文字通り堅実な俳優として名を成し人気者だった。「HANA−BI」「アウトレイジ 最終章」などの名演技が思い出されるが、大杉が5年前に「これは俺がプロデュースする」と決めて、主演も兼ねた映画が「教誨師」である。

 教誨師とは刑務所や少年院等の矯正施設において被収容者の宗教上の希望に応じ、所属する宗教・宗派の教義に基づいた宗教教誨活動(宗教行事、礼拝、面接、講話等)を行う民間の篤志の宗教家のこと。現在約2千人が登録されている。佐向監督は映画「休暇」(2007年、門井肇監督)で脚本を担当し教誨師を描いた体験があり「それを主役に」という案を大杉に話したことから企画が立ち上がった。

 「大杉さんのマネージャーのお父さんが実際に教誨師の仕事をされており、すごく乗ってくださってやろうということになった。初めは主演だけだったが、ほかの死刑囚の役が大事だと一緒に考えるうちに、それではプロデューサーもということになった。企画が本格化したのは3年前で、随分と助けていただいた」

 物語は教誨師の佐伯(大杉)が刑務所に出向き、死刑囚6人と向き合って話をするという構成。相手は問いに一切答えようとしない鈴木(古舘寛治)、気の良いやくざの組長・吉田(光石研)、年老いたホームレス・進藤(五頭岳夫)、よくしゃべる関西出身の中年女性・野口(烏丸せつこ)、面会に来ないわが子を思い続ける気弱な小川(小川登)、そして大量殺人者の若者・高宮(玉置玲央)がそのメンバー。

 「とにかく、話を聞くことになる教誨師のセリフがすごく多く、大杉さんはびっくりしていたが、それは全部頭に入れて、なおそれぞれの死刑囚に説得力のある言い方で接しなければいけない。もちろん意見が合わず、どう方向を交わし、相手の考えを諭すか、芝居は大変だった。大杉さん最後は鏡のようになって相手に接するようになり、佐伯自身も変わってきて、死の側にいる死刑囚の思いに寄り添う演技は迫真的だった」

 死刑については日本ではいろいろな意見がある。オウム裁判後の死刑執行のニュース報道もまだ生々しい。「対話シーンはできるだけ一発撮りで、緊張感を大事にした。アドリブは少なく、むき出しのセリフで臨場感を作った。大杉さんは完成した作品を見て喜んでくださっていると思います」



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