来阪catch

日本の明日を信じて

ドキュメンタリー映画「モルゲン、明日」
監督 坂田 雅子
2018年12月15日

原発全廃のドイツに学ぶ

「ドイツの人の話を聞いて力をもらった」と話す坂田雅子監督=大阪・十三のシアターセブン
(C)2018 Masako Sakata

 ベトナム戦争の枯れ葉剤被害者を扱った「花はどこへいった」(2007年)で知られるドキュメンタリー作家の坂田雅子監督4本目の新作「モルゲン、明日」(リガード配給)が22日から大阪・十三のシアターセブンで公開される。2022年までに原発全廃を決めたドイツを訪ね「日本の明日は…」と考察する坂田監督に話を聞いた。

 坂田監督は2003年に枯れ葉剤をまいたベトナム戦争に従軍した米兵の夫が早世したことで、枯れ葉剤の深い傷跡をかつての戦地を訪ね追いかける「花はどこへいった」を発表した。2作目はベトナム帰還兵の父親が浴びた枯れ葉剤の影響を受けて生まれたアメリカ人が戦地を訪ねる姿を撮った「沈黙の春を生きて」。

 2011年3月の福島第1原発事故後、坂田監督はショックを受けて「どうして私たちはここまで来てしまったのか」と、世界の核実験被害地や原発大国のフランスなどを訪ねてまとめた第3作「わたしの、終わらない旅」を撮った。「私の母親が原発反対運動をやっていたので、それを引き継ぐ形で、あらためて原発のことを考えようと思った」

 第4作「モルゲン、明日」は2011年6月にドイツのメンケル首相が「日本の福島の原発事故を見て、科学の進んだ国でもどうしようもないのが原発だと分かった。わが国は2022年までに原発を全廃する」と国民に向け演説したことに端を発する。「一方の日本は、事故収束の糸口も見えない状況で、全国的に一時停止させた原発を再稼働させ始めた。ドイツと日本の違いは何なのか」

 坂田監督はドイツに直接おもむき、原発周辺の人々や、そこで働きながら原発廃止を訴える多くの市民の声を聞いた。「ドイツは第2次大戦のヒトラー政権を猛反省すると同時に、繰り返してはならないという気持ちが強い。自然エネルギーだけで小さなホテル経営をするオーナーは『そのためベンツを買うお金が必要だったが、その使いようは人間の知恵』と話している」

 ドイツの「原発反対」の運動の中で、その流れのピークになったのは1968年代の学生たちで彼らは後に「緑の党」という政党の誕生に深く関わっている。「その中にワインで知られるライン川沿いにあるヴィールという村で起きた原発建設反対運動がある。農民、学生、女性など幅広い市民が動いて、建設を阻止させた。これがその後の反対運動に勇気を与えた」

 日本の福島だけでなく、チェルノブイリ原発事故などその後いろいろ後処理が問題になっている。「ドイツの政治家、そして国民がいま歴史に学んで繰り返さないと誓っている。戦争責任を問われたドイツのニュルンベルク裁判、日本の東京裁判に違いはあるが、原発問題でドイツが行おうとしていることに賛成する日本人は多いと思う。その思いをこの映画を通じて伝えたいし、明日に希望を持ちたいと思う」

 1948年生まれ、長野県出身。