フィギュアスケート企画

一意専心 町田 樹(4)

2013年7月25日

新しい「火の鳥」作りあげる

今シーズンの輝きを誓った町田(撮影・麻生えり)

 今季のフリーについて、昨季に高評価を得た『火の鳥』を持ち越すことを既に公表している。「先シーズン、グランプリシリーズ(GP)で『火の鳥』の羽ばたきを見せながら、全日本でイメージを崩してしまった。しかし、『火の鳥』は再生や輪廻(りんね)転生の神でもある。今季はこのプログラムをもう一度作り上げて、“再生”をテーマにしたい」

 ロシアの作曲家、ストラビンスキーによるこのバレエ音楽は、ソチ五輪の舞台で映える楽曲だ。「『火の鳥』は聖火の象徴でもある」と自分の夢と重ね合わせ、続行を決めた。「今季はフィリップ・ミルズ先生と話し合って、より羽ばたけるようにブラッシュアップし、新しい『火の鳥』を作りあげたい。オリンピックシーズンにふさわしい、見応えのあるものに仕上げていくつもり」と声を弾ませる。

 一方、ショートプログラム(SP)については彼なりの戦略があるのか、今は多くを口にしない。しかし「今季のSPは『THE 町田樹』と言える自信作だ」と教えてくれた。「これまでいろいろなプログラムを演じてきたが、このSPは演じるというより自分『町田樹』の表現だと言ってもいい」と胸を張る。

 振り付けは6月上旬から、アメリカで2週間をかけた。「でも、まだ完成に至ってない。8月になったら、フリーのブラッシュアップと一緒に再び渡米し、今度は完璧なものに仕上げるつもり」と目を輝かせる。手応えがあるのか、帰国後の風貌はまた一段と精悍(せいかん)になり、自信に満ちている。

 丹念に仕上げたプログラムを引っ提げ、GP1戦目のアメリカ大会、6戦目のロシア大会に出場する。「先シーズンよりし烈な戦いになると思う。レースに残るためにもGPで結果を出して、ファイナル(福岡)に出たい。けれど、あくまで照準は全日本に置いて。今年はさいたまスーパーアリーナという大きな会場なので、そこで納得のいく演技ができたら最高。自分がリンクのセンターにいて、満員の観客が総立ちするというような良いイメージだけを思い浮かべて、過酷な練習に耐えていきたい」。

 「関大の先輩たち、高橋選手、織田選手は、オリンピックに出場するために命を懸けている。だから僕も同じ覚悟で勝負しなければ勝てないと思う。シーズンはそのくらいの気持ちで戦います」。自分史上最高傑作を作るために。完璧な演技をするために。そして夢をかなえるために。今季、町田はさらに羽ばたく。

    (おわり)