日曜インタビュー

「同窓生で劇場映画を」

映画「ケンとカズ」
主演 毎熊 克哉
監督 小路 鉱史
2016年12月4日

「竜二」のような男たち

「同郷で同窓生です」と話す小路鉱史監督(左)と毎熊克哉=大阪・十三の第七藝術劇場
「ケンとカズ」の左からカトウシンスケ、藤原季節、毎熊克哉=(C)「ケンとカズ」製作委員会

 自主製作映画「ケンとカズ」(太秦配給)が大阪・十三の第七藝術劇場ほかで上映されている。新人監督の小路鉱史と新人俳優の毎熊克哉が組んで「同窓生で劇場映画に初挑戦した」という野心作。名作「竜二」のような男たちを描きたかったという2人に話を聞いた。

■短編をリメーク

 −自主製作だけど、メジャー映画のような娯楽性がある。

 小路 お金はなかったが、目指すところは「映画館で上映するエンタメ映画」。僕と毎熊は東京フィルムセンター映画・俳優専門学校の映画監督コースの同窓生で、自主製作で何本かの短編を作り、その中の1本に「ケンとカズ」(23分)があって、これを長編にした。

 毎熊 2011年に作った前作と同じ、カズ役。先輩のケン(カトウシンスケ)と一緒に自動車修理工場で働いているが、はい上がるためにやくざの仕事に手を染め、ケンともめながら、ついにはやくざの人間たちと対立し自滅していく話になっている。伝説の自主製作映画「竜二」(1983年)の金子正次さんのような男をやりたいと思った。

 −長編でやりたかったことは?

 小路 短編はケンとカズの対立、そしてやくざの男との会話劇だったが、それをスケールアップし、「竜二」がそうだったように、一般社会に生きている男が生きるためにいろいろあがき、はい上がろうとすればするほど、人とのしがらみから逃げられなくなり、ある選択を迫られる過程を描きたかった。

 毎熊 短編のカズはややおとなしい感じだったが、今回の彼はかなり突っ張っていて、その辺が変わっており、目つきも鋭く、少し怖めのキャラクターになっている。眉毛をそって細くしたりして、監督からやり過ぎと言われたが、「竜二」で新人の金子さんが当時スターだった松田優作さんから絶賛されたように、頑張ってみようと(笑)。

■家族の環境

 小路 カズは突っ張って、どんどん普通の生活からそれていくが、ケンは彼女がいて妊娠したことで普通のパパになりたいと思っている。暴走するカズを止めながらもそこは優柔不断で、巻き込まれていく。カズも認知症の母親がいて、家の環境から逃げようとしている背景がある。ケンとカズのどちらの生き方がいいのか。

 毎熊 男としての生き方はカズの方が野心的で、少しはみ出しながらも「何をするのか?」という緊張感もある。その辺で気を付けたのはビジュアルで、顔の表情、その身体の動きなど何度も練習して作っていった。僕は学校で監督コースだったが、その後俳優に転向。今はカズと同じような上昇志向がある(笑)。

 −映画に出ている俳優の顔もみんないい。

 小路 ケンとカズの弟分のテルをやっている藤原季節君はメジャー映画にも出ているし、これからのスター候補。やくざのボス役の高野春樹さんもカズらが反抗するのが悪いのであって、彼が怒って制裁するのは仕方なく、その辺をうまく演じている。ケンのカトウさんは劇団の人で少しハーフ的なルックスもあって人気がある。映画に女性ファンが多いのは男優陣の顔がいいから。

 毎熊 昨年の東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で作品賞をいただき、今年は新藤兼人賞・銀賞を受賞した。監督も俳優も無名の新人だけの映画だから賞をいただいたことで勢いをもらった。これからメジャーを目指して浮上できたらと思うし、そのスタートラインに立ったという気がする。

 −毎熊さんは監督に戻らなくていいの?

 毎熊 今は俳優1本。監督は死ぬまでに1本撮れたらいいと思う。だから小路監督にまた使ってもらって、エンターテインメントな作品に出たい。僕らはスピルバーグやジェームズ・キャメロンの「ターミネーター」「タイタニック」などで育ったので、そんな映画に出たい。

 小路 僕も同じだが、「ケンとカズ」の続編的なものか、また全然違う恋愛映画を撮ってみたい。毎熊君にいろいろオファーがあるように、僕にも少しオファーがあるので、チャンスを逃がさないようにしたい。

 しょうじ・ひろし 1986年生まれ。広島県出身。東京フィルムセンター映画・俳優専門学校卒業後、短編映画多数でフェスティバル入賞。同名短編を長編化した本作で劇場映画監督デビュー。メジャー進出へ。
 まいぐま・かつや 1987年生まれ。広島県出身。東京フィルムセンター映画・俳優専門学校卒業後、俳優に。舞台出演を経て同窓の小路監督と短編を長編化した本作に主演。大阪・北千里に家族が住んでいる。