旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

お見事!

2017年5月22日
JR松本駅の近くに心地よいビジネスホテルがあった

 前回、ホテルマンのサービス力の低下を指摘したが、今回はお見事なホテルウーマンの話を紹介しよう。仕事の関係で長野県の松本を訪れる機会があり、駅近のビジネスホテルを予約し、当日現地へ向かう。

 途中、宿泊するホテルからの留守電に気づき、確認をする。「○○ホテルフロント○○です。大切なお時間にお邪魔しまして申し訳ありません。お手すきになってからで結構です、ご到着時間のご予定をお聞きしたくご連絡差し上げました。道中十分にお気をつけてお越し下さいませ。お待ち申し上げております」。とても丁寧な気遣いの感じられる話し方に感心する。

 未到着防止の確認作業ではあるが、実に心地よい。夕方、無事到着、チェックインの対応は女性が。手続きの際に横の男性の係に尋ねてみた。「おいしいお店紹介して下さい、出かける際で結構ですから」。1時間後、食事に出かけようとフロントの男性に対し、再度お店の案内をお願いすると、ガイドマップを出し「行ってらっしゃいませ」と。

 ま、いいかと玄関を出ようとしたその時、チェックイン対応の女性が玄関先まで来て、「これどうぞ」とガイドマップの上にメモをつけて渡してくれた。和食、洋食、個人的なお勧め等々細かに手書きでしたためてあった。

 おそらく留守電の女性だろうと確信する。それだけではない。チェックアウトの際、幅3センチくらいの小さな折り鶴と短冊に「お気をつけて…」と手書きのメッセージ。「帰り着くまでお邪魔でしょうが、車のミラーにでもかけて下さい」。こんなに心地よいビジネスホテルは初めてである。

 いい宿あってのいい旅を実感する旅であった。

 (ホテル・旅館プロデューサー)