旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

ホテル旅館「再生」から「創生」へ

2017年8月14日
泊まるだけの道具になりかけているホテル

 中小規模のホテル旅館再生で、小生がホテル旅館経営者に会ってみると、共通して感じることがある。まさに破綻寸前なのにホテル旅館経営者は、自分の事業が破綻するかもしれないという自覚がほとんどないということ。

 ホテル旅館の再生を実施するに当たって「再生」という文字を使ってはいるが、二度と再び昔のような明るい世界が戻ってくることはあり得ないと断言する。経営者は「再生」ではなく「創生」と理解すべきで、今まで経営してきたホテルや旅館をまったく新しく生まれ変わらせる努力が必要である。

 20年前までは、まだまだ「ホテルは憧れ」の時代。客室面積が狭かろうが、天井高が異様に低かろうがホテルというだけで消費者が集まった。

 しかし今は都市再開発がらみの話題のホテルが続々と登場し、客室面積や快適度でいえば20年前の都市型ホテルの部屋より新型ビジネスホテルの方がワンランク上と言わざるを得ない。

 理由はともあれ、経営を悪くさせた原因が自分にあると自覚していない経営者が果たして「再生」などできるのか不安になる。

 財務リストラだけではない、競合他社に打ち勝つ集客力のあるホテル旅館づくりは、なにも破綻しかけているホテル旅館だけに必要な手法ではない。

 20年前までのホテルは“非日常”の世界を創り上げ、消費者の夢に応えていたような気がする。しかし今のホテルは日常的であり憧れの対象でもなく泊まるだけの道具になりかけている。

 このあたりがホテル再生の鍵かもしれない。

 (ホテル・旅館プロデューサー)