岡力の「のぞき見雑記帳」

末廣堂「さつま焼」「貝もなか」

2016年12月10日

住吉名物、海の産物を模した和菓子

さつま焼と5種の形をした貝もなか

 天王寺から阪堺電車に乗り車窓から見える景色を楽しみながら住吉大社へ。大阪人から「すみよっさん」の愛称で親しまれる同社は、「海運の神」を祭っており船会社の関係者がお参りに訪れる姿を目にする。「なぜ住吉で海なのか?」と疑問を持つ人もいるだろう。

 さかのぼること元禄の頃、この東粉浜一帯は地名の通り海辺だった。現在でもマンションの基礎工事で深く掘り起こすと白い砂が出土するという。当時、見渡す限りの砂浜で栽培されていたのが「さつまいも」。「住吉芋」と呼ばれ一大産地となったが昭和の初めには姿を消した。その名残を感じることができるお店がある。

 明治初年に創業した末廣堂は、住吉大社御用達の和菓子店である。名物は、住吉芋を模して作った「さつま焼」。姿・形は芋だが原料では一切使用していない。こしあんを生地でコーティングした焼き菓子。口に含むとなぜかお芋のような風味が広がり一度食べるとヤミツキになるおいしさである。

 同店には、もうひとつ「海」にちなんだお菓子がある。毎年10月〜5月の期間限定で発売される「貝もなか」。先代が考案し販売して50年になるお菓子である。店主の齋藤裕昭さんにお話を伺った。「当店の名物は、さつま焼ですが貝もなかもこの時期の風物として根強い人気があります。味は、粒あんを使用しているので少し甘めになっています。毎月最初の辰の日(はったつさん)には、住吉大社のお茶うけとして納めております」。

 購入する際は、数に限りがあるため事前予約をオススメする。古き良き住吉の潮風を感じることができる逸品である。

 (コラムニスト)

 ■末廣堂
 大阪市住吉区東粉浜3丁目12の14、電話06(6671)4428