岡力の「のぞき見雑記帳」

吹田を闊歩したアケボノゾウ

2017年7月24日

大きな牙が特徴の小柄なゾウ 

佐竹公園(吹田市)にある説明看板

 「昔、吹田にはゾウがおったらしいわ」。幼少の頃、よく聞いた都市伝説である。隣接する豊中市で発見されたマチカネワニは全国的に有名である。それに対し吹田でゾウとなればもう少し話題になってもいいだろう。果たして本当に生息したのだろうか? 夏休みなどない大の大人に成長したが、自由研究として調べてみる事にした。結果、自宅から徒歩圏内、いわば近所にゾウはいた。

 昭和23年、吹田市佐竹台3丁目付近で約250万年前から120万年前に生息したと言われている「アケボノゾウ」の化石が発見された。アケボノゾウは、大陸から渡ってきたシンシュウゾウが進化し、日本全国に生息区域を拡大したと言われている。文献によると肩の高さが2メートル位と意外に小柄。体に似合わない大きな牙が特徴でステゴドンゾウと呼ばれる類に属す。

 ちなみにステゴドンと言う学名はギリシャ語で「屋根型の歯」を意味する。これは、臼歯を横から見ると屋根型の稜がいくつも組み合わさったよう見えるからである。

 これまで、アカシゾウ、ショウドゾウ、カントウゾウ、スギヤマゾウ、タキカワゾウとさまざまな呼び名のゾウが発見されている。しかし1991年になってこれらが全てアケボノゾウと同種であることが判明。結果、最も古い時代に名付けられた「アケボノゾウ」に統一されたと記されている。もっと早くに発見し「スイタゾウ」と命名できなかった事が悔やまれる。

 いよいよ子どもたちが待ちに待った夏休みがスタートする。はしゃぎ過ぎてケガをしないよう気をつけてもらいたい。しかし自由研究では、とことん無駄骨を折りながら頑張ってもらいたい。

 ■出典 『化石は語る−ゾウ化石でたどる日本の動物相−』川那部浩哉【監修】高橋啓一【著】(2008)八坂書房、54〜55ページ