岡力の「のぞき見雑記帳」

自然界で増えるクサガメ

2017年8月21日

もうひとつの外来種!?

巨体のクサガメ(左)がミシシッピアカミミガメ(右)を威嚇

 昭和40年頃、お菓子の景品がきっかけでブームとなったアメリカ原産のミシシッピアカミミガメ。通称、ミドリガメ。しかし無責任な飼い主に捨てられ皮肉にも日本の自然界で最も生息する亀となった。2015年に環境省は「特定外来生物」への指定を検討。今後は、販売禁止、さらに飼育も許可制になる可能性が出てきた。しかし飼育に申請が必要となれば「捨て亀」に拍車がかかる懸念もある。

 古くからペットとして親しまれている日本の固有種「ニホンイシガメ」(準絶滅危惧種)は、ギザギザした甲羅の形状から「ゼニガメ」と呼ばれてきた。しかし現在、「ゼニガメ」の名称で販売されているのは大半が「クサガメ」である。これは戦後、ニホンイシガメとクサガメを同じ容器で販売した事により混同したと言われている。

 クサガメは、茶褐色の甲羅に3本のキールと呼ばれる隆起、顔には黄色の線やまだら模様がある。オスは老齢になると甲羅や皮膚が黒化し違う顔つきになる。また頭が驚くほど肥大する「巨頭現象」が見られる個体もある。これを「オオアタマクサガメ」と呼び別種と唱える説もある。よく日本の亀として図鑑で紹介されているが、厳密には江戸時代に大陸から渡ってきた外来種である。

 近年、ミドリガメが規制されたペットショップでは代わりに中国、台湾から輸入したクサガメ(別名・キンセンガメ)を販売している。しかし「臭亀」と呼ばれるだけあって独特の臭いと排せつ物の掃除に手間がかかり川や池に捨てられている。

 その影響でこのクサガメが自然界で増えている。成体は30センチ位まで成長し貝やザリガニもかみ砕く。現在、駆除されていくミシシッピアカミミガメを尻目にやや勢力を拡大している。さらに幻の亀と言われていたニホンイシガメとクサガメの交雑種「ウンキュウ」を池でよく見かけるようになった。

 「珍しい?」と喜んでいる場合ではない。亀の世界で種を残す手段が少し誤った方向に進んでいる。しかし全ての火種は人間にある。かの南方熊楠が飼育していたクサガメは享年100年と言われている。亀をペットとして飼うのであれば、人生を共にする覚悟が必要である。

 (コラムニスト)