倉吉出身 元AKB48の中野郁海さん 手話が縁、映画初主演 障害ある子と母の成長描く

今井絵理子議員原作「親子劇場」 6日、地元で先行上映 7日鳥取

 倉吉市出身で元AKB48のメンバー、中野郁海さん(23)の主演映画「親子劇場」(モバコン配給)の先行上映が6日、倉吉市山根の倉吉シネマエポックで始まる。生まれつき耳が聞こえない息子と、その母親の成長を描いた感動作で、中野さんは「大切にしたい人がいる全ての人に響く作品になった」と話している。

耳の聞こえない子役

 同映画は女性ボーカルグループ「SPEED」のメンバーとして活躍した今井絵理子参院議員のエッセーが原作。主人公はかつて国民的アーティストとして活動した女性で、息子が先天的に耳が聞こえないことが判明し、苦難に直面しつつも乗り越える親子の絆を描いている。劇中のほとんどの場面が手話を使ったやりとりで、息子役を実際に耳の聞こえない子役が演じるなど、手話と関わりのある俳優が多く出演している。

 大橋孝史監督が主演に手話ができる俳優を探していたところ、AKB時代に手話を交えた自己紹介をしたり、全国高校生手話パフォーマンス甲子園の演技司会を務めたりするなど手話との縁が深かった中野さんに白羽の矢が立った。

 舞台を中心に活動している中野さんは今作が映画初出演作で、初の主演。撮影では、せりふと手話を組み合わせた演技や、舞台と映画の芝居の違いに苦戦しつつも徐々に適応した。母親役を演じることに不安もあったが、撮影前から息子役の男の子と交流を重ねることで「2人の実際の関係性の延長線上で、カメラの前でも演じられた」と手応えを語る。

運命のよう

 印象に残っているのは、初めて息子を保育園に送り届ける場面。不安を抱える中での見送りだったが、息子役の男の子が早速楽しそうに遊ぶ姿を見て、自然と涙があふれた。「現実と映画が交錯し、涙が止まらなくなった。撮影が進むにつれ、本当のわが子のようにいとおしい存在に思えた」と振り返る。

 6日に地元の倉吉市で先行上映が始まり、7日は鳥取、倉吉両市の会場で舞台あいさつを行う。中野さんは「小学生の頃に手話をしたことが映画の主演につながり、今回鳥取に帰ることができるのは運命のよう。老若男女を問わず、たくさんの人に見てもらいたい」と笑顔を見せた。

 ◇映画「親子劇場」(全編字幕付き)は来年、全国公開される。6日に倉吉シネマエポックで先行上映が始まるほか、7日午前10時20分から鳥取市の鳥取県立福祉人材研修センターで特別試写会を開催。同日、鳥取会場では上映後、倉吉会場では午後0時15分の上映後と、午後3時20分からの上映前に中野さんと大橋監督の舞台あいさつがある。

この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事