だし汁が入った熱々の鍋にサバをさっと湯にくぐらせて食べる「さばしゃぶ」。米子市はさばしゃぶを新しい名物として売り出そうと、市内の提供店とタッグを組んでPRに乗り出している。JR米子駅前を中心に7店舗が集まる「日本一の集積地」をうたい、マップやホームページ、のぼりを作成。地域内外から愛されるメニューとして定着を目指す。
各店舗で提供されるさばしゃぶは、だしやしょうゆベースの鍋でサバを湯通しし、薄切りのタマネギと一緒にポン酢や溶き卵、ナガイモをすりおろしたとろろなどに漬けて味わう。米子市では地元の新鮮なサバが手に入ることなどから居酒屋で広まり、市民や観光客などから注目を集めつつあるという。
昨年度まで全日本空輸から市に出向し、現在は市の観光アドバイザーを務める大森満晴さんが提供店の集積に着目。「新たな名物として売り出せる」と助言を受けた市が、提供店の住所や連絡先、写真を紹介するチラシを2万部作成した。店舗のほか、同駅周辺の宿泊施設や観光案内所などに配布した。
同市明治町の居酒屋「美酒佳肴(かこう)ゆらく」には、チラシを持って来店する人も多い。2019年8月にオープンした同店は、開店当初、来店客の5割程度がさばしゃぶを注文していたが、今では8割まで浸透。初めての来店客はほぼさばしゃぶを頼むという。
新たにさばしゃぶの導入を検討する店もあるといい、同店の高井賢一代表(43)は「提供店がどんどん増えて、米子のさばしゃぶが市民や観光客に愛される名物になってほしい」と期待する。市観光課の宮本朋子係長は「魚を生で食べることが苦手な海外の人にもなじんでもらえる。地元の名物となるよう広めていきたい」と話した。