デハ203号次世代へ 法勝寺電車100周年でシンポ

 かつて米子市-南部町間で運行された旧日ノ丸自動車法勝寺鉄道(通称・法勝寺電車)が今年で開業100周年を迎えるのを記念し、終点だった旧法勝寺駅近くの複合施設キナルなんぶ(同町法勝寺)で9日、シンポジウムが開かれた。記念講演のほか、施設前に展示されている「デハ203号電動客車」の内部公開もあり、町民らは鉄道遺産の継承と活用の思いを新たにした。

 法勝寺電車は1924年に開業して12・4キロ(支線を除く)を運行し、最盛期は年間252万人が利用するなど沿線の発展に貢献したが、マイカーの普及に伴い67年に廃線となった。デハ203号は2011年に県保護文化財に指定され、12年から15年にかけて米子市で修復工事が行われた。

 講演では、デハ203号の修復のための調査に関わった産業技術史の鉄道分野の専門家、堤一郎さん(73)が保存の意義を説明。国内でも希少な大正期の国産木製車両で、現存例が少ない台車形も残っているとし、「現地に現物が現存することが重要」と説いた。

 運行当時に乗車した町民らが写真を見て思い出を語る催しもあり、通学に利用していたという原環さん(74)は「法勝寺電車は私の青春そのもの」と回想。法勝寺電車の活用に取り組む「ガチャコンプロジェクト」の田中正夫代表(75)は「次世代につなげていくことが大切」と呼びかけた。

この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事