国の重要無形民俗文化財に指定されている「酒津のトンドウ」が11日、鳥取市気高町酒津の酒津漁港周辺であった。寒風が吹く中、上半身裸の男児らが、港に設置されたトンドウや集落をはだしで走って清めて回った。12日早朝にトンドウに火を放ち、住民らが今年の豊漁や無病息災を願う。
小正月の伝統行事で江戸時代後期から150年以上続くとされる。集落の男性らが朝からトンドウ作りに取りかかり、松の柱と12本の竹で組んだ高さ約4・5メートルの円すい形のトンドウを作り、各家庭の正月飾りを結び付けた。
子どもたちがトンドウと集落の家々を清めて回る「垢離(こり)取り」と呼ばれる儀式には、小中学生9人が参加した。子どもたちは海水に浸した海藻を振り回し、勇ましい「わっしょい」のかけ声とともにトンドウを3周。集落に駆け出して各家庭の玄関先で「払いたまえ、清めたまえ」と唱え、93軒の家々を回った。
儀式を終えた気高中1年の島崎海翔さん(13)は「やりきった感がある。足が痛いけど、地元のいい行事だと思う」と達成感をにじませた。