大手登城路の復元整備が進められている鳥取市の鳥取城跡で7日、工事が完成した中ノ御門渡櫓門(わたりやぐらもん)の報道向け内覧会が開かれた。同城跡の復元事業としては初となる室内空間を備えた本格的な城郭建築で、渡櫓門の完成により、中ノ御門全体の復元が完了した。
渡櫓門は、城の正面玄関にあたる中ノ御門表門を抜けた先にある木造2階建ての門。高さ9・2メートル、幅10・6メートルで、1階はケヤキ、2階はヒノキ、はりにマツが使われている。門を囲む土塀の総延長は73・6メートル。総工費5億2150万円で、約4年かけて整備した。
2021年に完成した表門の復元で培われた知見を踏まえ、材料や加工方法など細部に至るまで再現した。木材の表面を削る「ちょうな」を使ってはりを仕上げる「ちょうな仕上げ」では当時の城郭建築に用いられた手法を採用。門に取り付ける「飾り金物」も、つちで打って形を整える「槌目(つちめ)加工」を施した。
市文化財課の岡垣頼和主任(建築技師)は「100年後に文化財となるレベルで復元に取り組んだ。皆さんに本物の城郭建築を体感してもらえる」と話す。
7日の内覧会では、2階の室内部分も公開された。弓矢などの保管庫としての機能があったほか、石を落として敵を攻撃するために床の一部が開くようになっている。渡櫓門の開門式は26日。一般公開は9月の「鳥取三十二万石お城まつり」で予定されている。
大手登城路の復元整備では、18年に擬宝珠(ぎぼし)橋が、21年に表門が完成。太鼓御門と二の丸三階櫓の復元整備が残っており、市は本年度、三階櫓の調査研究に着手する方針。29年度から復元整備を進めたい考え。