4月上旬のある日、広州から上海に到着し、空港内を歩いていると、ある広告が目についた。人工知能(AI)を手がける企業の広告だ。空港で見るのは初めてだ。
AIは近年、急速に重要さが増している。数年ほど前に対話型生成AI「チャットGPT」が話題を集め、今年に入ると、中国新興企業「DeepSeek(ディープシーク)」が低コストで高性能な大規模言語モデル(LLM)「R1」を開発し、世界に衝撃を与えた。中国では、政府機関などが飛びつくようにR1を導入。産業界でも騰訊控股(テンセント)や百度(バイドゥ)といったインターネットサービス大手や、大手自動車メーカーがディープシークの生成AIモデルを採用している。この流れはさらに加速しそうだ。
実際に使ってみると、まだ不正確な部分もあるが、すごく便利だ。一方で、AIの技術が発達すると、将来なくなる職業が出てくるだけでなく、人間の可能性と限界について考えさせられる。果ては「人間とは何か」という根源的な問いまで突き付けられることになる。
空港で見たのは世にある広告の一つに過ぎないが、ついしみじみ眺めてしまった。AIが既に研究者の世界だけにとどまらず、一般社会に...