鳥取市茶町で郷土玩具工房を営み、2014年に看板を下ろした柳屋と、その復刻に取り組む「YANAGIYA REPRODUCT」の活動を紹介する企画展が同市西町3丁目のわらべ館で開かれている。同館所蔵の張り子面の木型や試作品のほか、復刻した全21点が初披露され、次代に継承される新旧の技を伝えている。18日まで。
同店は1928年に田中達之助が創業。鳥取の民話や伝説、郷土芸能を題材にした創作玩具のほか、廃絶した玩具の復興にも尽力し、跡を継いだ娘の宮子・謹二夫妻は50種以上の郷土玩具を生み出した。復刻事業は倉吉市で民芸品店を営む田中信宏さんが中心となって2代の教えを受け、地域の作り手らが分業で技のバトンを受け継いでいる。
今展には初代が木彫りで作った張り子の木型や、商品化されていないミニチュアの羽子板など貴重な史料が並ぶ。流しびなは川に流して自然に返る素材で作られており、作り手の姿勢を垣間見ることができる。
復刻品は、柳屋を代表する赤の猩々(しょうじょう)や黄色のぬけ面のほか、最新作の首を振る張り子のトラまで勢ぞろいした。同館の長嶺泉子専門員は「全国でも保存会が廃絶した郷土玩具を復刻する事例はあるが、分業制は珍しい。新しい担い手で継承される郷土玩具の取り組みの一例として見てほしい」としている。