琴浦町箆津(のつ)の国指定重要文化財・河本家住宅で、同住宅に飾られている掛け軸に関するギャラリートークがあった。古美術品ファンや地元住民ら約30人が訪れ、有識者による解説を熱心に聞き入った。
河本家は代々大庄屋などを務めた豪農で、学問や文化芸術を重んじた。1688年築の同住宅には江戸中期~大正年間に収集された膨大な古典籍や芸術品が残っており、同住宅保存会が定期的に解説講座を開催。今回は、春の特別公開の一環として企画した。
4月30日は、光明寺(倉吉市研屋町)の山口明茂住職が同住宅の離れに飾られている江戸中期の思想家・手島堵庵(とあん)の書「一以貫之(いちをもってこれをつらぬく)」について解説。論語に登場する孔子の言葉で、第14代当主・猷蔵(みちぞう)の戒名にも「一貫」と書かれていることから「河本家が代々大切にした価値観と思われる」と説いた。
倉吉市文化財協会の真田真理子さんは、明治期の女性画家・野口小蘋(しょうひん)の南画「四君子図」の掛け軸について解説。当時、珍しかったとされる女性画家の半生を紹介した。