マイナ保険証の混乱、医療ミスにもつながりかねない

  •  香山リカ

 「マイナ保険証」をめぐってトラブルが相次いでいるのを受けて、厚労省は利用推進本部を設置、初会合が開かれた。「マイナ保険証」とは、マイナンバーカードと健康保険証が一体化したものだ。

 ネットでは、交付された「マイナ保険証」の数に比してトラブルの実数はごくわずかなのだから騒ぐ必要はない、という声もある。もちろん、どんなシステムも完璧とはいかず、一定の比率でエラーが起きるのは不可避だ。

 ただ、マイナンバーカードや「マイナ保険証」の場合、取得の促しは強引ともいえるほどのものだった。それと最近、次々と発覚しているトラブルのお粗末とのギャップが、国民の不信感を高める結果となっている。

 たとえば昨年12月には、2023年度から地方自治体ごとのカード交付率が地方交付税の算定に反映されることが決まった。「交付率の高い自治体ほど交付税額を積み増す」と言われれば、どの自治体も必死になって住民に「カード取得を」と呼びかけるだろう。

 実際に私が働く自治体でも、役場職員が住民の家に出向いて取得手続きの書類作りを手伝う、取得した住民には金券を配布する、などのさまざまな工夫をしてカード交付率を上げようと尽力した。もし...

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