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曲独楽、絶やさずに後世へ 伏見龍水、紫水を襲名

2020年2月14日

 江戸時代に大道芸から始まり、昭和には寄席芸の味付け役として受け継がれてきた古典芸能「曲独楽(きょくごま)」。その伝統を上方で唯一受け継ぐ伏見龍水(59)が4月に還暦を迎えるのを機に、師匠の大名跡・紫水を襲名する。襲名披露公演は同27日から5日間、神戸喜楽館(新開地)昼席で行い、「上方での後継者育成にも力を入れたい」と張り切っている。

曲独楽の大名跡を受け継ぐ伏見龍水(右から2人目)、桂文福(右端)ら=大阪市中央区の船場寄席

 曲独楽は木製独楽に鉄製心棒を貫き、手でもんで回し扇子や刃の上に立てるバランス芸。元々サラリーマンだった龍水は子どものころにテレビで見た先代紫水の芸に憧れ、独楽収集家に独楽を譲ってもらったことから独学で技を習得。アマとして休日に高齢者施設慰問などを行っていた。うわさを聞いた先代から自宅に呼ばれ、技を教えてもらうなどしてかわいがられているうち入門を許され、2008年から現在の龍水の名で天満天神繁昌亭での高座を務めるようになった。

 上方で曲独楽を操る芸人は、紫水から教えを受けた落語家・桂米八が有名だったが2015年に58歳で早世。昨年には紫水も85歳で没し、ついに後継者は龍水独りに。

 生前、師匠から「この芸を絶やさず受け継いでくれ」と言い聞かされていたことや、遺族からの勧めもあり襲名を決意。龍水は「かつて曲独楽は、伏見流のほかに但馬流もあり大勢の弟子がいたそう。しかし今では私が文化教室で指導しても若い方はなかなか来てくれない。江戸落語の寄席芸としては10人くらい曲独楽をやる方がおられると聞いている。4月に襲名した後は上方での後継者育成に力を入れたい。幸い長男(24)が“やってみたい”と言ってくれている。ユーチューブなども使ってどんどん普及していきたい」と目を細める。

 落語家の桂文福は「落語専門寄席には、色物として太神楽や曲芸などの大道芸が付き物。曲独楽も定席として繁昌亭ができてから、出演機会が増えた。われわれも寄席芸仲間として応援していきたい」とエールを送る。


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