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障害者「安心できる」 コロナ禍、薬剤師が訪問調剤

2021年2月5日

 大阪市内の事業者が、障害者向けの訪問調剤事業に取り組んでいる。同市淀川区に事務所があるカンエ薬局は週2〜3回、周辺の施設や自宅などを薬剤師が訪れ、調剤や飲み方を指導している。利用者や家族、施設スタッフからは「新型コロナウイルス禍で薬局に行くのが不安だった。間違いも防げるし、安心できる」と好評を得ている。

曜日や時間帯ごとに薬を仕分けする松本代表=大阪市淀川区のカンエ薬局

 薬剤師の資格がある同薬局の松本朋子代表(45)が、利用者から処方箋を受け取り、薬局である事務所で調剤して手渡す。曜日や朝・昼・晩、寝る前と日時ごとに区切って仕分けも行う。費用は国から一部もしくは全額補助される。

 在宅訪問での調剤は、高齢者の利用が多い一方、同様の補助がある障害者への周知が進んでいない現実があった。松本代表は「困っている人は必ずいる。ビジネスという形で支援できないか」と2019年に事業を開始した。

 実際に始めてみると、薬局に足を運べない障害者や家族から依頼を受けた。複数の病院から大量の薬を処方される利用者や家族、施設スタッフから「飲み間違いや飲み忘れ、薬同士の相性が解消できた」との声が届いた。直接、薬剤師と話ができ、薬のことを気軽に相談できることもメリットだった。

 「薬局に足を運ぶことをためらう人にも自宅訪問することで、感染リスクを軽減して薬をお渡しできた」と松本代表。オンライン診療が進む中で、医師と患者である利用者との架け橋にもなっている。

 現在の利用者は35人。法律の規定で事務所の半径16キロ以内、40人以内という規定があるからだ。それでも松本代表は「スモールビジネスとして成立する」と見通す。

 通常、薬局を開くには初期費用に約2千万円は必要とされるが、訪問主体のため事務所の開設費は300万円に抑えられた。収入も「大もうけはできないが、小規模で維持、運営していくには十分」と話す。

 今後、フランチャイズ形式での事業展開も考えている。背景には休眠している薬剤師の存在があり、約6割が女性で結婚や出産などで中断することも多い。仕事に復帰する際、専門職として社会的に意義のある仕事をしたいと願う人もいる。「地域の障害者支援を仕事として支えてくれれば」と期待を込める。


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