大阪ニュース

黒澤明のアングルで 米映画「最後の決闘裁判」

2021年10月21日

 「ブレード・ランナー」(1982年)の名匠リドリー・スコット監督(83)が黒澤明監督の「羅生門」(53年)をリスペクトした「最後の決闘裁判」(ウォルト・ディズニー・ジャパン配給)を発表し話題になっている。主演のマット・デイモンが持ち込んだ企画でスコット監督はデビュー作「デュエリスト/決闘者」(77年)に並ぶ題材で「黒澤の三つのアングルが面白い」とチームに参戦した。

左からアダム・ドライバー、ジョディ・カマー、マット・デイモン(C)2021 20th Century Studios.All Rights Reserved.

 チームとは「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(98年)で米アカデミー賞脚本賞を受賞したデイモンとベン・アフレックの24年ぶりの脚本コンビ。14世紀のフランスが舞台で、騎士のジャン・ド・カルージュ(デイモン)の美しい妻マルグリット(ジョディ・カマー)が夫の留守中、旧友の騎士ジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)に乱暴されたと訴え、相手が無実を主張したため、採決は国王が正式に認めた「決闘裁判」に委ねられる。神による絶対的な裁きで、勝者が正義で、敗者はたとえ命拾いしても罪人として死罪になる仕組みだ。

 映画は決闘前の法廷で被害者のマルグリット、夫のカルージュ、そして加害者のル・グリの三者三様の訴えを再現したドラマが展開される。ル・グリがマルグリットを襲う場面は、そのプロセスは全く同じだが、それぞれ小さな違いがある。それを探し、誰が真実を語っているかを当てるのは観客に委ねられるが、事の最終決着は「決闘」の勝者だから、歯がゆくはある。デイモンの夫がそのはざまで揺れて、堂々とシラを切るル・グリのドライバー。アフレックが宮廷上司役で後者に味方する。

 「グラディエーター」(2000年)でアカデミー作品賞をとったスコット監督が描く決闘シーンも見どころ。これは国が認可した最後の決闘裁判で、実話ミステリーである。脚本を書いた男2人に、1人の女性脚本家(ニコール・ホロフセナー)が参加し、ヒロインのジョディも3人に意見を聞かれたと述べている。

 大阪ステーションシティシネほかで上映中。 (映画評論家/高橋聡)


サイト内検索