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「虐待死ゼロ」へ啓発 大阪の子育て支援35団体

2021年11月30日

 児童虐待による死亡件数がワーストを記録した大阪府で、30を超える団体でつくる啓発活動のネットワークが「虐待死ゼロ」を目指す草の根の活動を続けている。折しも今年8月、摂津市で3歳男児が熱湯をかけられ死亡した事件が起きたばかりだ。講演を通じて「虐待する人、しない人の境目はない」と指摘。その上で、周囲が親に寄り添い、育児の悩みを「聞く」ことの有効性を説いて回っている。

親に寄り添うため、「聞く」ことの重要性を説く浜辺さん
通学の電車内での体験など「最近あった嫌なこと」を話し合う生徒ら

 活動を続けるのは、日本子育て支援制度機構(浪速区)をはじめ35の支援団体でつくる「ゼロ会議」。2018年、府内の「虐待死ゼロ」を目指す共同体として立ち上げ、各地で啓発活動を継続している。

 今月、「幼児教育コース」を備える大阪成蹊女高(東淀川区)であった出前授業で同機構理事、浜辺拡臣さん(41)は、虐待が発生する共通の要因を経済的困窮や多忙、孤立などに起因する「親の“いっぱいいっぱい”の状況」だと指摘。厳罰化や通報システムの強化などで子どもを保護する行政に対し、追い詰められた親の悩みを受け止め、「虐待が起きないようにするのがわたしたち民間の務めだ」と解説した。

 虐待を未然に防ぐ手段として、「聞く」ことの重要性を強調。公的支援などにつなげるため、「『いっぱいいっぱい』の人は窓口へ相談しにくい。『よく言ってくれたね』と、身近な人の話を聞く存在になって」と訴えた。

 このことを体験するため、授業では生徒約100人が「最近あった嫌なこと」を互いに3分ずつ伝え合うコーナーも。「話すと気持ちが楽になる。『嫌なこと』であっても、最後は笑い話になっていませんか」。浜辺さんは、その際には「否定」や「説教」は控え、受け止めることの大切さを付け加えた。

 教員志望という3年の石井遥さん(18)は「虐待は親から受けた人がするものと思っていたが、身近に起こる可能性があることを知った」とうなずいていた。

 府警によると、府内では16年に8人、17年は7人が虐待で命を落としている。ゼロ会議は、19〜21年の3年間を活動期間としており、虐待死事件だけでなく親の負担感を軽減し、不安を「ゼロ」にしようと取り組んでいる。


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