大阪発 羅針盤

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関西文化の日

2016年9月24日

文化庁 京都移転は早期に 「東京五輪」前に世界発信を

平成の大修理を終えた姫路城。関西文化の日の11月19日に無料開放される(コラージュ)

 関西元気文化圏推進協議会が呼び掛ける11月の「関西文化の日」に無料開放する施設が年々増えている。今年の目玉は平成の大修理を昨年3月に終えて注目を集める姫路城(姫路市)の初参加だ。2020年の東京五輪・パラリンピック開催を前にした世界発信の機運が背景にある。それだけに「最短でも19年度以降」とする文化庁の京都移転時期は好機を逸しかねない。

■発想の転換

 「今は政治、経済、そして文化も東京に一極集中し過ぎている」。03年3月に当時の河合隼雄文化庁長官が「関西から日本の社会を文化で元気にしよう」と提唱し、関西の経済団体、企業、行政、報道機関でつくる関西元気文化圏推進協議会は発足した。キーワードの「文化力」は加齢による衰えを肯定的に捉えた流行語の「老人力」に倣い、発想の転換を図ったものだ。

 文化行政の在り方を見直す議論は果たして、今年3月に決まった京都移転への準備を通して加速しつつあるが、肝心の移転時期は未定のままだ。今月16日にあった関西元気文化圏推進協議会の幹事会で講師を務めた前・文化庁長官官房政策課長の佐藤安紀氏は「最短でも19年度以降に全面移転する」との説明にとどめた。

 佐藤氏は、文化芸術を生かした地域活性化策を立案する「地域文化創生本部」(仮称)を17年度に設置する先行移転を改めて伝えたが、全面移転を巡っては「いつ(京都の)どこに行くかは協議の段階」と解説。講演後に「一朝一夕に決まるものではない」と答えたが、東京五輪開催の20年までの移転完了を訴える声は少なくない。

■多言語化

 「日本文化を発信できる年に引っ越ししていては駄目」と京都府の山田啓二知事は7月の関西広域連合の会合後に指摘した。姫路城を管理する姫路市の石川博樹シティプロモーション推進課長も「文化庁が京都に来て関西文化を発信するのは重要」と早期移転を求めている。

 姫路城は15年度の入城者数が全国の城郭最高となる286万人を記録したばかり。東京五輪開催を前に施設案内の多言語化を進める姫路市にとって文化庁の京都移転は「連絡が密になる」(石川氏)利点がある。さらに、関西文化の日の11月19日に入城料(大人千円)を無料にする市の狙いは周遊観光の促進にあり、関西文化の日を通した広域連携の輪は広がりつつある。

 実際、関西文化の日の今年の参加数は現時点で前年比54施設増の656施設に拡大。03年と比べると5倍以上になる。

 「文化集積だけでなく広域で取り組む素地があったからこそ移転につながった」とは佐藤氏が講演で示した文化庁の京都移転の背景だ。広域連携を重視するのであれば、東京五輪を念頭に置く関西文化の結束を無にしてはいけない。