旅ばな

 外資系シティーホテル、大型リゾートホテルなどの総支配人を経て、現在、ホテル・旅館プロデューサーとしてホテルの再生・運営を主に活動する吉武英行が、旅のエピソードや宿での失敗談、宿の上手でお得な利用の仕方などを連載します。

福井、永平寺町 気づきに出会う…

2018年7月30日
行列ができる売り切れ御免の人気店「けんぞう蕎麦」

 「SYOJIN 気づきに出会う禅のまち」永平寺町は、福井県嶺北地方のほぼ中央に位置する。東西に流れる九頭竜川の営みによって生まれた扇状地や段丘、川と山との織りなす舞台が永平寺町。旧石器時代の石器や縄文時代の住居跡、北陸最大級の前方後円墳をはじめ多くの古墳があり、往時の隆盛と古くから人々の生活に適した風土を備えていたことがうかがえる。

 鎌倉時代には京都より道元禅師が移居し、曹洞宗の修行道場を開き、伽藍(がらん)を整備して現在まで770年以上続く永平寺を確立。「七堂伽藍」寺院の建物を「伽藍」と呼ぶ。僧侶が修行をする清浄な場所という意味があり、禅宗寺院では、特に主要な伽藍として、法堂、仏殿、僧堂、庫院、山門、東司(とうす)、浴室を指して「七堂伽藍」と呼ぶ。中でも僧堂、東司(お手洗い)、浴室は「三黙道場」といわれ、修行をする上で大切な場所とされている。

 この空気から生まれた食文化もすばらしくそして美味である。少し紹介しよう。禅の心で創り上げられたという逸品「永平寺禅のあげ」、石臼びき地産のそば粉「永平寺そば」、保存食の代表「ごまどうふ」、生ふをつくだ煮風に味付けした「精進しぐれ」、「永平寺はまなみそ」を修行僧の保存食と言えばそれまでだが、これだけ高品質の保存食は珍しい。

 ともあれこの食文化を体験すべく永平寺そばに挑戦。地産のそば粉の十割そば、辛味大根のしぼり汁と、年に1回しか仕入れることのできない蔵出ししょうゆを隠し味にしたつけダレ、このタレにそばをくぐらせれば、まさに香り高いそばを食すのに適した食べ方。大満足の「永平寺そば」の感想である。

 このお店「けんぞう蕎麦(そば)」は超お薦めだ。売り切れ御免の人気店でもあり、行列に並ぶことは覚悟してほしい。

 福井の海は何度も訪れるが、内陸の良さもぜひ体験してほしいと思う。特に永平寺の壮大さは口頭では言い表せないほど驚嘆に値する寺院である。

 (ホテル・旅館プロデューサー)