猛威被害あらわに 台風7号一夜明け 変貌ぶりに住民困惑

 台風7号の影響による猛烈な雨が上がった16日、各地で道路や橋、上下水道が寸断され、集落の孤立も残るなど、猛威をふるった台風の被害が次々と明らかになった。避難所などで不安な一夜を過ごし、降り続いた雨からようやく解放された住民たちは、被害を受けたわが家、わが町の復旧に追われた。

 流域に架かる橋が崩落した佐治川近くに家を構える、鳥取市佐治町高山の会社員、長谷智徳さん(56)は15日夕方に親子3世代6人で避難を決め、知人宅で一夜を明かした。16日の朝に家へ戻り、周りの変貌ぶりに驚いた。家の前には直径60センチ以上の石や大木が土砂と混じって流れ出ており、泥も15センチほどの高さに堆積していた。「家に損害が無くて安心したが、水道も止まっている。少しでも早い復旧を」と願う。

 八頭町福地でも集落内を流れる私都川が増水し、県道282号が約70メートルに渡って陥没した。自宅前の道路が陥没した女性(69)は「長年住んでいるが、こんなことは一度もなかった。自然の怖さを身に染みて感じた。朝になって全貌が分かるまで、不安でいっぱいだった」と話す。

 三朝町穴鴨を流れる加谷川にかかる穴鴨橋はたもとが崩落し、路面が陥没するなどの被害が確認された。近くに住む農業、竹内徹さん(74)は「15日はとにかく雨音が激しく、橋のたもとが崩れるような音は聞こえなかった」と話し、16日朝になってから橋の被害状況を確認したという。

 橋桁には上流からの流木がたまり、破損した橋の一部からは水道管がむき出しに。田んぼに水を送る土管も崩壊し、近所の住民は「これから田んぼに水が要るのに…」と困り果てた。

 鳥取市や八頭町でも、道路や橋の損壊による上下水道の寸断が相次いだ。同市は、市水道局が保有する4台の給水車全てを市内の佐治町と河原町の断水地域に派遣した。このうち、同市河原町中井では午前9時半から、中井一ふるさと交流館で給水作業を始めた。近くに住む壱岐葉子さん(73)は「15日の夕方から水が使えなかったから、ありがたい」と一息ついた。

 県内の交通機関では鉄道の運休が相次ぐなど、台風でUターンを足止めされた帰省客らの混乱が続いた。JR鳥取駅のみどりの窓口には、切符の払い戻しや変更の手続きに長い行列ができた。鳥取市に帰省し、16日の特急スーパーはくとと新幹線で東京に戻る予定だった東京都練馬区の会社員、大坪祐香さん(28)は17日の切符を取り直し、「明日から出勤予定だったが仕方ない。これから会社に連絡しないと」とため息交じりに話した。

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