直木賞作家の角田光代さんと、昨年4月に閉店した定有堂書店(鳥取市)店主の奈良敏行さんによる図書館セミナーが24日、鳥取西高(同市東町2丁目)であった。「なぜ人生には本が必要なのか」をテーマに対談し、生徒に読書の魅力や本の楽しさを伝えた。
2月に刊行された角田さんの新作「方舟を燃やす」に同校がモデルの学校が登場することや、角田さんが奈良さんの著書「町の本屋という物語」の書評を書いたことから同校が企画。
対談で角田さんは、自身の現代語訳書「源氏物語」から、主人公光源氏の「物語にこそ人間の真実が書かれている」というせりふを紹介。「これは紫式部の考えではないかと研究者の間で言われている」とし、物語や小説が時代を超えて普遍的に人に愛されていると説明した。
奈良さんは、角田さんが書評で本の中にある自分だけの心のよりどころを「青空」と表現したことについて、「将来仕事などで逆境に直面した時、青空があることを思い出して。本が好きになると自分で考える力がつき、他人の言葉にへばりつくことがなくなる」とアドバイスを送った。
聴講した2年生の奥山美優さん(17)は「難しそうなイメージを持たれるのが嫌で『本が好き』と言いにくかったが、二人の話を聞いて本を好きでいてもいいんだと素直に思えた」と話した。