関取ら街に活気 地元と交流 放駒部屋宿舎を誘致

 大相撲春場所(3月12~26日)に合わせ、大阪市東住吉区の地元団体が地域の活性化につなげようと相撲部屋の宿舎を誘致した。少子高齢化や新型コロナウイルスの感染拡大で地域が疲弊する中、朝稽古の見学を広く住民らに開放したり、交流を深めたりし、世話役の一人は「誘致してよかった」と胸をなで下ろした。

 区今川社会福祉協議会が主体となって、放駒部屋を誘致した。昨春に部屋を継承した放駒親方(元関脇玉乃島)が宿舎を探していることを上田孝会長(78)が知人を通じて知り、地元の盛り上がりにつながれば、と名乗りを上げた。

 区内の今川福祉会館内に土俵を組み、近隣の文化施設、今川地域振興センターを力士らの合宿所とした。上田さんによると、場所前から朝稽古を連日開放したところ、迫力あるぶつかりを間近で見て、触れ合いもできるとあって、千秋楽の同26日までに地元の児童ら延べ3500人が見学に訪れた。

 上田会長は「初めてのことで心配したが大繁盛した。地元の協力を得て、警備や清掃、駐輪場の整理も思った以上にうまくいった」と振り返る。

 場所後の同29日は、着物姿の部屋衆ら8人が区内の駒川商店街を散策し、商店や買い物客らと交流。「写真撮っても良いですか」などと求められ、快く応じていた。一行はびんつけ油の甘い香りを漂わせながら街頭の注目を一身に集め、商店主の一人は「さすがに迫力がありますね。びっくり」と驚いていた。

 十両の島津海関(26)は「温かく迎えてくれて、街でも声をかけられたり、場所前から良い雰囲気で過ごしやすかった。来年は幕内に上がって帰ってきたい」と喜んでいた。

 「街が沈みかえり、何とか活性化を、と考えていた。新しい取り組みに一部で不安もあったが、払拭されたのではないか」と上田会長。地元では、来年の春場所も受け入れる考えだ。

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