琴浦町赤碕の塩谷定好写真記念館で、本年度前期企画展「写真のかたち」が開かれている。昭和の山陰の風景を芸術的に切り取った写真が並び、訪れた写真愛好家らが懐かしそうに見入っている。9月23日まで(火曜休館)。
塩谷定好(1899~1988年)は写真を絵画的視点で表現する芸術写真の先駆者。ピンぼけを生かした「軟調描写」や独自の現像手法を駆使し、生涯山陰の人と自然を撮り続けた。
今展では、未発表作品を含む25点を紹介。日本海の水平線を極端にゆがめて現像したアート志向の強い「天気予報のある風景」(1931年)や、畑で休憩する男性を正面から捉えた「初夏農夫」(同)など農村の人々を生き生きと表現した作品などが展示されている。
同館の塩谷晋館長は「鳥取県立美術館が誕生し、ここに立ち寄る人も増えている。芸術写真の魅力を多くの人に知ってもらいたい」と話した。